更新日 : 2023.01.13

母子家庭が利用できる制度 母子父子寡婦福祉資金貸付金

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、母子家庭や父子家庭の父母やその子どもが貸付を受けられる制度です。

2009年には、利用者の負担軽減のために貸付時の利率が年3.0%から無利子に引き下げられたり、貸付条件の見直しが行なわれたりするなど、生活が不安定な母子・父子家庭の資金需要に応えられるように制度の態勢も整備されてきています。

制度を利用するにあたっては、まず貸付対象や資金の種類、利用できない状況に該当しないかを確認したうえで、自身が利用できるかどうかを確認しましょう。

そのうえで制度の利用を希望する場合は、申請から貸付までの流れとともに、貸付を受けた後の償還(返済)の方法についても確認しておきましょう。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は母子・父子家庭がお金を借りられる公的制度

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度とは、母子・父子家庭の経済的自立を図るための制度です。厚生労働省の管轄のもと、各都道府県・指定都市・中核市が主体となって実施しています。

  • さまざまな用途に合った資金が用意されている
  • 原則として連帯保証人が不要(※)
  • 貸付までに1カ月程度かかる場合がある

※自治体によって連帯保証人が必須と判断される場合は、その限りではありません。

「生活にかかる資金」「子どもの就学・修学資金」「医療や介護に必要な資金」など使いみちに応じた資金が12種類用意されているため、幅広い用途で制度を利用できます。

また、原則連帯保証人が不要であることも特徴の一つです。家族や親せきなどに連帯保証人を頼むことができない事情があっても制度を利用可能です。

なお、貸付を受けるにあたっては、実施主体となる自治体への相談や申請手続き、審査が必要であり、資金の振込までに1カ月程度かかる場合もあります。1週間程度で振込を受けられる場合もありますが、資金の受け取りまでには一定期間かかると想定しておくとよいでしょう。

連帯保証人がいれば無利子で利用できる

利用する資金の種類よっては、連帯保証人を立てることで無利子で貸付を受けられます。有利子の場合は年1.0%の利子(利息)が発生しますが、無利子の場合は利子(利息)が発生しません。

連帯保証人を立てるには一定の要件を満たす必要があり、一般的には以下のような要件が定められています。

【連帯保証人の要件】

  • 一定の収入があり債務を弁済できる資力があること(生活保護受給者は不可)
  • 申請者本人と別生計であること
  • 申請先の自治体または近隣に住んでいること
  • 申請先の自治体または近隣に住んでいること
  • 60歳未満であること

※自治体によって要件の詳細は異なる場合があります。

自治体によっては、居住地に関して「申請先の自治体に住んでいなくても三親等内の親族に限っては可能」のような例外的な対応がとられたり、対象年齢も「60歳程度」のように明確に定めていなかったりする場合もあります。

つまり、一般的な要件として挙げた項目のいずれかを満たせない場合でも、自治体によっては連帯保証人を立てられることがあるのです。連帯保証人を立てたい場合、自治体に利用の相談をする際に要件の詳細を確認してみるとよいでしょう。

なお、連帯保証人には、申請者本人が償還できなかった際に償還の義務が生じます。償還が行なえなくなった場合のトラブルを回避するためにも、連帯保証人を頼む際には貸付額や資金の使いみちなどを明確に説明しておきましょう。

貸付対象

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の貸付対象は、以下のいずれかに該当する人です。

  • 20歳未満の子どもを扶養している母子家庭の母または父子家庭の父
  • 寡婦(※)
  • 母子家庭の母または父子家庭の父に扶養されている子ども
  • 父母のいない子ども

※ 寡婦とは、配偶者がおらず、過去に母子家庭の母として子どもを扶養していたことのある人などのことを指します。
参照元:内閣府男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

20歳未満の子どもを扶養している母子家庭の母または父子家庭の父だけでなく、母子・父子家庭の子どもや父母のいない子ども貸付対象です。

ただし、子ども本人が貸付を受ける場合には、法定代理人を連帯保証人として立てなければならず、ひとりで制度を利用することはできません。法定代理人とは、父母といった親権者や、親権者がいない場合に未成年者の代理人として財産の管理などを行なう未成年後見人などのことです。

なお貸付対象でも、申請者の所得額や公的制度の利用状況によっては対象になりません。より明確に貸付対象となるか否かを判断したいなら、貸付対象とならない状況の例もあわせて確認しておくとよいでしょう。

資金の種類によっては収入がなくても申し込める

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度には12種類の資金が用意されています。

例えば、これから事業や仕事を始めるために利用できる資金や、失業期間中の生活費として使える資金も用意されています。
そのため収入のない状態であっても、事業や仕事を始められる見込みが立っており、償還を行なえると判断されれば貸付を受けられます。

貸付対象にならない状況の例

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を実施する自治体によっては、以下の状況に該当すると貸付対象になりません。

  • 他の公的制度で貸付を受けている場合
  • 20歳以上の子どもを扶養している場合
  • 一定の基準以上の所得がある人

他の公的制度で貸付を受けていたり、20歳以上の子どもを扶養していたりすると、貸付の対象から外れます。

また、自治体によっては一定の基準以上の所得がある場合は貸付対象から外れることがあります。
そのため所得がある場合は、所得制限を超えているかどうかを確認しておきましょう。

他の公的制度で貸付を受けている場合

他の公的制度で貸付を受けていたり今後貸付を受ける予定があったりすると、貸付対象となりません。
併用できない公的制度は地域によって異なる場合はありますが、社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度や日本学生支援機構の奨学金などが該当します。

また複数の自治体では、生活保護を受給している場合も、貸付が認められていません。

そのため、既に他の公的制度を利用している場合は、その公的制度の担当者へ相談してみてください。

日本学生支援機構の奨学金なら併用できる場合がある

日本学生支援機構の奨学金を利用中であっても、受け取っている金額が修学資金の限度額に満たなければ、その差額分の貸付を受けられる場合があります。

具体的にいえば、奨学金で月10万円受け取っていて、修学資金の限度額が月14万円に設定された場合、差額分である4万円分の貸付を受けられます。

そのため、就学に必要な資金が奨学金だけだと不足している状況にあるなら、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用することでその不足分を補えるでしょう。

20歳以上の子どもを扶養している場合

扶養する子どもが20歳以上であるときも、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の貸付対象になりません。実際に内閣府をはじめ各都道府県が、貸付対象として「20歳未満の子どもを扶養していること」と定められています。

なお、扶養する子どものうちいずれか一人でも20歳未満であれば、20歳以上の子どもに関係する貸付を受けることは可能です。たとえば、10歳の子どもと20歳の子どもを扶養するシングルマザーであれば、20歳の子どものための就学資金の貸付を受けられます。

貸付対象になるかどうかは、貸付が必要な子どもの年齢だけでなく、扶養するすべての子どもの年齢も踏まえて判断できます。

一定の基準以上の所得がある場合

自治体によっては、所得制限が設けられている場合があります。

とくに寡婦である場合は、法律で所得制限があると決められており、自治体が定める基準以上の収入があると貸付を受けられません。

収入の基準は自治体によって異なりますが、基本的には年収203万6千円程度に定められています。

とはいえ、やむを得ない事情がある場合は、一定の基準以上の所得があっても貸付を受けられます。

そのため、一定の収入があるが家計が苦しい事情がある場合は、申請先の自治体にて所得制限の有無について相談してみましょう。

資金の種類一覧

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度で利用できる資金は全部で12種類あります。各資金は定められた使いみち以外には利用できないため、それぞれの使いみちの例を参考にいずれの資金に申請すべきかを確認しましょう。

【資金一覧】
資金の種類 資金の使いみち
事業開始資金 母や父、寡婦が事業を始めるのに必要な設備や機械などの購入資金
事業継続資金 母や父、寡婦が現在営んでいる事業を継続するために必要な運転資金
修学資金 子どもが高校や大学などにおいて修学するための授業料・施設費・通学費などに必要な資金
技能習得資金 母や父、寡婦が事業を始めたり就職したりするために必要な知識や技能を習得するのに必要な資金
修業資金 子どもが事業を始めたり、就職したりするために必要な資金
就職支度資金 子どもや寡婦が就職するために直接必要な購入資金
医療介護資金 医療や介護を受けるために、子どもや寡婦が必要とする資金
生活資金 生活を安定・維持するために必要な資金
住宅資金 住宅の建設、購入、補修、保全、改築、増築するのに必要な資金
転宅資金 住宅の移転の際に、住宅を貸借するために必要な資金
就学支度資金 子どもが高校大学などに入学するために必要な入学金や被服費等の一時的な資金
結婚資金 子どもが婚姻するのに必要な資金

参照元:内閣府男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

修学資金や就学支度資金では子どもの修学に必要な資金の貸付を受けられる

修学資金および就学支度資金は、20歳未満の子どもがいる母子・父子家庭の父母や、父母のいない子ども・寡婦が扶養する子ども本人が利用できます。

授業や通学費といった継続的に必要となる資金なら修学資金を、入学時に必要な受験料や入学金といった一時的に必要となる資金なら就学支度資金を利用して貸付を受けられます。

【修学資金(授業料や通学費といった継続的に必要になる資金)】
限度額(資金額の上限) 高校、専修学校(高等課程):月額52,500円
短期大学: 月額131,000円
大学:月額146,000円
※自宅外通学かつ私立に通う場合の例です。
貸付期間 高校、専修学校(高等課程):月額52,500円
据置期間(貸付日から償還開始までの猶予期間) 短期大学:月額131,000円
償還期限(完済するまでの期限) 大学:月額146,000円
利率(資金の貸付にかかる利子) ※自宅外通学かつ私立に通う場合の例です。
【就学支度資金(入学時に必要な受験料や入学金といった一時的に必要になる資金)】

修学資金は、毎月一定の金額が貸し付けられる資金です。修学資金を利用すれば、授業料や書籍代、通学の交通費など、卒業まで継続的に発生する費用を工面できます。

一方、就学支度資金は一括で貸し付けられる資金です。修学資金と違って一括で貸付を受ける形になるので、就学に必要な制服代や書籍代、入学金といった一時的に発生する費用を工面できます。

なお、貸付を受けられる金額は、学校の種類や居住形態によっても異なります。自身の状況にあわせた貸付額は、申請先の自治体にて確認可能です。

生活資金では失業や医療・介護等によって不足した資金の貸付を受けられる

生活資金は、一時的に生活費が減少したり収入を得られなかったりする状況で、生活を安定・維持させるための貸付を受けられます。

【生活資金を利用できる状況】

  • 知識や技能の習得期間中
  • 医療や介護を受けている期間中
  • 失業期間中
  • 母子家庭または父子家庭になって7年未満かつ生活が安定するまでの期間
【生活資金】
限度額(資金額の上限)+C31C34B30:C34BB30:C34 原則月額105,000円
(知識技能の習得の場合は月額141,000円)
貸付期間 【知識技能】
習得にかかる期間の5年以内
【医療・介護】
医療や介護を受ける1年以内
【失業】
離職日の翌日から1年以内
(生活安定期間の場合は貸付期間が定められていません)
据置期間(貸付日から償還開始までの猶予期間) 貸付期間満了後6か月
(知識技能の習得の場合、習得期間満了後6か月)
償還期限(完済するまでの期限) 【知識技能の習得】
20年以内
【医療・介護】
5年以内
【生活安定期間】
8年以内
【失業】
5年以内
利率(資金の貸付にかかる利子) 連帯保証人あり:無利子
連帯保証人なし:年1.0%

生活資金の特徴は、どのような期間で資金の貸付を受けるかによって、貸付期間や償還期限が異なる点です。たとえば、失業を理由に貸付を受ける場合、離職日から1年間は貸付を受けられます。

引っ越しの資金が必要なら転宅資金で貸付を受けられる

引っ越しにかかる資金や賃貸の敷金礼金といった諸費用が必要な場合は、転宅資金で貸付を受けられます。

【転宅資金】
限度額(資金額の上限) 260,000円
据置期間(貸付日から償還開始までの猶予期間) 6カ月
償還期限(完済するまでの期限) 3年以内
利率(資金の貸付にかかる利子) 連帯保証人あり:無利子
連帯保証人なし:年1.0%

転宅資金は、引っ越しにかかる資金等の貸付を受けられますが、他の資金と同様に貸付金を受け取るまでには1カ月程度かかります。

資金を受け取る時期が遅れると引っ越し時期や住宅の貸借に必要な諸費用の支払いに影響するため、できるだけはやめに手続きを進めましょう。

父母が就職するための資金が必要なら技能習得資金で貸付を受けられる

母子家庭の母や父、あるいは寡婦が事業を始めたり就職したりするための知識や技能を習得するための資金が必要な場合は、技能習得資金で貸付を受けられます。

事業を始めたり就職したりする目途がついており、償還が行なえると判断されれば、制度を申請する時点で無職・失業中であっても利用可能です。

具体的な資金としては、特定の資格の取得資金や資格習得のために必要な備品の購入費用、運転免許の取得費用などが該当します。

【技能取得資金】
限度額(資金額の上限) 月額68,000円
(一括貸付の場合は12か月分相当額で816,000円、運転免許を取得する場合は460,000円)
貸付期間 知識や技能を習得する期間中5年を超えない範囲内
据置期間(貸付日から償還開始までの猶予期間) 知識や技能の習得後1年
償還期限(完済するまでの期限) 20年以内
利率(資金の貸付にかかる利子) 連帯保証人あり:無利子
連帯保証人なし:年1.0%

技能習得資金の限度額は1カ月あたり68,000円となっています。月々一定の金額を受け取ることもできますが、12か月分に相当する金額の貸付を一括で受けることも可能です。

たとえば、運転免許の取得にかかる資金の貸付を受ける場合は、460,000円を上限に一括で貸付を受けられます。

なお、申請する際には知識技能習得先の合格証明書や在学証明書が必要です。そのため、現時点で通学の見込みなどが立っていない場合には書類が用意できず、制度を利用できません。

資格取得のための各種学校などに入学する目途が立っており、合格証明書や在学証明書といった書類を提出できる段階で申請するようにしましょう。

貸付を受けるまでの流れ

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する流れは以下の通りです。

【母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する流れ】

  • 1、住んでいる自治体に相談する
  • 2、申請書と添付書類を提出する
  • 3、審査を受ける(審査時には面談が行なわれる)
  • 4、貸付の可否が申請者本人に通知される
  • 5、借用書および交付請求書を提出後に資金が交付される

※申請する自治体によって利用の流れが前後したり異なったりする場合があります。

制度を利用するなら、まずは申請先の自治体の窓口に事前相談をする必要があります。申請書や添付書類を提出する前に、資金の申請が適切かどうかを担当者が判断するためです。

相談先の窓口は、最寄りの自治体の福祉担当窓口になります。

事前相談の結果、申請が可能と判断された場合、申請書と添付書類を提出することで審査が行なわれます。審査時には、提出した書類をもとに償還可能かどうかや保証人が必要かどうか、面談等により貸付が自立につながるかどうかなどが審査されます。

審査によって貸付が決定された場合は、借用書や交付請求書といった書類を提出したのち、資金が交付されます。修学資金のように限度額が月額で設定される資金については分割で貸付されるため、最初の貸付時には1ヵ月分の貸付金が申請した口座へ入金される形です。

なお、申請から貸付を受けるまでの期間は、自治体によって変わる場合もありますが、一般的には1カ月以上かかると想定されます。連帯保証人を立てる場合には添付書類の数も増えて時間がかかることも想定されるので、できるだけはやめに事前相談を行なっておきましょう。

申請時に提出する書類

詳細が自治体によって異なりますが、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の申請時には以下の書類をすべて提出する必要があります。

【申請時に提出する書類】

  • 貸付申請書
  • 戸籍謄本
  • 世帯の全員分の住民票記載事項証明書または住民票の写し
  • 申請者本人の印鑑登録証明書(※)
  • 母子家庭の母または父子家庭の父の収入を明らかにする書類(※)
  • 生活費の収支内訳がわかる書類
  • 資金の種類に応じて必要な書類
  • そのほか申請者の状況や申請内容により必要と判断された書類

※連帯保証人を立てる場合は、連帯保証人の分の書類も必要となります。
※自治体によって提出する書類の種類が異なる場合があります。

すべての申請者が提出するのは、貸付申請書や戸籍謄本、世帯分の住民票の写しです。他の書類は申請内容によって異なるため、事前相談時に自治体に確認しておきましょう。

たとえば、修学資金の貸付を受ける場合、入学通知書または合格通知書の写し(在学中の場合は在学証明書)、授業料等の額を明らかにする書類の写しなどが必要となります。

申請しても信用情報を確認されることはない

母子父子寡婦福祉資金貸付制度に申請しても、信用情報の確認が行なわれません。信用情報とは、ローンやクレジット等の信用取引における利用履歴のことで、具体的には契約内容や利用状況などのことです。

個人信用情報機関という機関に登録・管理され、機関に加盟する金融機関だけが信用情報を照会可能となっています。しかし、各自治体はいずれの個人信用情報機関にも加盟していないため、信用情報を照会できません。

とはいえ、ローンを利用している場合は、その旨を申請する必要があります。申請の際には毎月の生活の収支状況等がわかる書類の提出を求められ、収入や支出の申請も必須となるからです。

審査に落ちる原因

母子父子寡婦福祉金貸付金制度では、必要書類を提出したのち、提出した書類や面談等にもとづいた審査が行なわれます。自治体の審査の基準は明らかになっていないものの、制度の特徴や各自治体の注意事項を踏まえると、以下のような場合には審査に落ちると考えられます。

【審査に落ちる原因】

  • 償還が不可能であると判断された場合
  • 申請した情報に虚偽があった場合

貸付を受けた後に償還の必要があるため、償還が不可能であると判断されれば審査に通りません。たとえば、今後就職による収入が見込める場合には無職でも貸付を受けられるものの、就職等の目途が立っておらず収入も見込めない状況では貸付を受けられません。

また、自治体の判断によって審査の可否が判断されるため、申請者側が対策を立てて審査落ちを防ぐことが難しい場合もあります。

とはいえ、虚偽の申請による審査落ちは申請者側の行動によって引き起こされるものです。どのような事情があったとしても、虚偽の申請のような審査落ちにつながる行動は避けるようにしましょう。

償還が不可能であると判断された場合

自治体の担当者によって償還が不可能と判断された場合には審査に通りません。制度の目的は経済的な自立を図ることにあり、貸付によって生活が破綻するリスクがある場合には審査に通りません。

そのため貸付を受けられない場合は、償還の必要がない形での支援を受けるのも一つの手です。収入がなく働けない状況にあるなら、生活保護などの公的給付を利用することも検討してください。

申請した情報に虚偽があった場合

申請時した情報に虚偽があると判明した場合には審査に落ちることがあります。

複数の自治体では、虚偽の申請があった場合に貸付の停止や一括での償還を求めています。つまり、申請時に虚偽の進行が発覚した場合には、審査にすら通らないのです。

なお、虚偽申告が発覚した場合、詐欺未遂や私文書偽造として罪に問われることも否定できません。どのような事情があったとしても、正しい情報を申告するようにしてください。

制度を利用した後には償還(返済)の必要がある

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は貸付制度であるため、利用した後には償還(返済)の必要があります。

実際に償還する際には、資金ごとに設定されている償還期限内に、年賦・半年賦・月賦のいずれかで支払います。たとえば、無利子で50万円の貸付を受けて5年で償還を終える場合、年賦なら1年ごとに10万円、半年賦なら半年ごとに5万円、月賦なら毎月約8,300円を支払う計算です。

償還する期限は資金ごとに「〇年以内」と定められており、その期間内であれば、はやめに償還を行なえます。一回あたりの償還額も利用者側が選べるので、家計の収支状況を踏まえて、償還しやすい方法を選んでおきましょう。

たとえば、毎月少しずつ償還する方法がよければ月賦での支払いを選んだり、ボーナスなどで一括で償還したいなら半年賦や年賦での支払いを選んだりできます。

据置期間が過ぎてから償還を行なう

設定されている据置期間中には利子のみの返済が認められています。実際の貸付額を含めた償還が行なわれるのは、据置期間が終了する翌月からです。そのため、据置期間中は償還による負担を抑えられる仕組みです。

据置期間は、資金の種類ごとに以下のように定められています。

【資金ごとの据置期間】
資金の種類 据置期間
事業開始資金 貸付日から1年
事業継続資金 貸付日から6カ月
修学資金 修学した学校を卒業してから6カ月
技能習得資金 技能習得期間終了から1年
修業資金 技能習得期間終了から1年
就職支度資金 貸付日から1年
医療介護資金 医療や介護を受ける期間が終了してから6カ月
生活資金 技能習得・医療介護・失業期間などが終了してから6カ月
住宅資金 貸付日から6カ月
転宅資金 貸付日から6カ月
就学支度資金 就学した学校を卒業してから6カ月
結婚資金 貸付日から6カ月

たとえば、修学資金であれば、貸付を受けた本人が学校を卒業してから6カ月間が据置期間となります。3月に卒業した場合、同年9月末までは据置期間として利息のみの支払いが認められており、10月より償還が開始する流れです。

なお、据置期間中に利子の償還が必要なのは利率が適用される場合のみです。無利子での貸付を受けたり連帯保証人を立てたりする場合は、据置期間中の支払いが必要ありません。

償還金を滞納すると違約金が発生する

償還を期限までに行なえないと違約金が発生するため、無理の無い範囲で返済計画を立てましょう。違約金には年3.0%の利率が適用され、滞納金額および滞納日数に応じて以下のの計算式で算出されます。

【違約金の計算式】
滞納金額×年3.0%×滞納日数÷365日=違約金

滞納金額とは、滞納した時点でまだ償還が完了していない金額のことです。たとえば、50万円の貸付がある状態で30日滞納が続いた場合、違約金は「50万円×年3.0%×30日÷365日」で計算され、約1,233円の違約金が発生することになります。

なお、病気や介護、失業等により期日までの償還が行なえないような事情があった場合、それらの事実を証明できる書類を提出することで、違約金が免除となる場合があります。そのため、違約金の免除を希望する場合は、事前相談や申請時に利用した窓口へ相談してみてください。

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