更新日 : 2023.01.11

契約者貸付制度

契約者貸付制度は保険会社から貸付を受ける方法です。適用される金利も、年2.0%~年3.0%程度になります。

終身保険・養老保険・学資保険など解約返戻金のある保険に加入しているなら、契約者貸付制度を利用して、解約返戻金の一定範囲内で貸付を受けられます。

そして、解約返戻金を担保に貸付されるため、申込者本人への審査は行なわれません。貸付期間中も保険の保障や配当金を受け取る権利は変わりなく継続し、保険の契約期間内であればいつでも返済できます。

契約者貸付制度とは

契約者貸付制度とは、契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で貸付を受けられる制度です。解約返戻金は、保険の契約を解約した場合に契約者に支払われる金銭を指します。

【契約者貸付制度の仕組み】

基本的に保険を解約をしない限り、解約返戻金は支払われません。しかし、契約者貸付制度であれば、解約せずにその一部を貸付という形で受け取れる仕組みです。

なお、貸付金の使いみちも制限されていません。また、申し込みの時間帯によっては当日中に貸付を受けられるため、急な資金が必要な場合にも利用可能です。

契約者貸付制度の利用可能額の決まり方

契約者貸付制度の利用可能額(貸付可能額)は、解約返戻金の一定範囲内で決まります。

解約返戻金に対する利用可能額の割合は一般的に公表されていませんが、一部の保険会社では、解約返戻金の6割~8割程度を利用可能額としています。たとえば、解約返戻金が20万円ある場合、利用可能額は12万円~16万円程度になる計算です。

一般的に利用可能額は、契約者専用のWEBページや電話から確認できます。保険会社の公式サイトからログインまたは電話にて確認をして、希望する金額の貸付を受けられるか確認してみてください。

契約者貸付制度を利用できる条件

細かい点は保険会社によって異なりますが、一般的に契約者貸付制度を利用するには以下の条件を満たしている必要があります。

【契約者貸付制度が利用できる条件】

  • 契約者本人である
  • 契約者貸付制度のある保険を契約している
  • 一定額の解約返戻金がある

契約している保険の種類によっては契約者貸付制度を利用できませんが、終身保険・養老保険・学資保険など保険期間の長い保険や貯蓄性のある保険なら、契約者貸付制度を利用できる傾向があります。

ただし、契約者貸付制度が用意されている保険であっても、解約返戻金がないと利用できません。たとえば、契約から短期間しか経過していないと、解約返戻金がなかったりごくわずかであったりします。

契約者貸付制度のある保険か否かや、現時点で解約返戻金があるかは、契約者専用のWEBページにアクセスしたり電話で問い合わせたりして確認できます。

契約者貸付制度の特徴

契約者貸付制度には以下のような特徴があります。

【契約者貸付制度の特徴】

※それぞれのリンクをクリックすると詳細の説明に移動できます。

契約者貸付制度では解約返戻金を担保として貸付を受けますが、保険自体を解約する必要はありません。保証を継続しながら利用できるのは、契約者貸付制度の特徴のひとつです。

また、一般的なローン商品の場合は申込者本人への審査が行なわれますが、契約者貸付制度の場合は担保をもとにした貸付となるため、審査が行なわれません。申込手続きを行なったあとは、審査なしで最短即日中に貸付を受けることが可能です。

貸付を受けたあとは返済の必要があります。一般的なローン商品では毎月一定額の支払いが求められますが、契約者貸付制度では返済期限内であれば貸付額の全額または一部をいつでも返済できるのが特徴です。

保険を解約しなくても利用できる

解約返戻金が本来解約時に払い戻される金銭であることから、「貸付を受けるには保険を解約しないといけないの?」と気になる人がいるかもしれません。

結論、契約者貸付制度を利用しても保険契約は解約されません。貸付を受けても、継続して保険の保障を受けられます。保障が継続することから引き続き保険料の支払いが必要ですが、契約者貸付制度の利用によって毎月の保険料が増えることはありません。

ただし、利用したことで解約になることはありませんが、利用状況によっては保険が失効することがあるので注意が必要です。

申込者本人への審査が行なわれない

契約者貸付制度では、申込者本人への審査が行なわれません。

一般的に申込者本人への審査とは、年収や信用情報の確認などを指します。信用情報とは、ローンやクレジットなどの信用取引における利用履歴のことです。

申込者本人への審査があるのは、基本的に無担保での貸付をする制度・商品です。無担保での貸付を行なう場合には、申込者の返済能力をもとに貸付を行なうため、法律や金融庁の方針によって年収や信用情報の確認が義務付けられています。

なお、契約者貸付制度では申込者本人への審査は行なわれませんが、本人確認は行なわれます。本人確認は証券番号の照会のみで行なえる場合もあれば、必要書類の提出が必要な場合もあるなど保険会社によっても異なるので、公式サイトで必要な書類を確認しておきましょう。

最短即日で貸付を受けられる

契約者貸付制度に申し込む際、所定の日時までに手続きを終えれば、最短即日で貸付を受けられる場合があります。

【保険会社が公表する貸付金が着金となる時間の目安】
保険会社 最短の着金日 着金日ごとの取扱時間
日本生命 申込当日 平日8時~14時30分までの取引で当日着金
平日14時31分以降・土日祝日の取引で翌営業日の着金
大同生命 申込当日 平日9時~18時50分までの取引で当日着金
平日18時50分以降・土曜日の取引で翌営業日の着金
明治安田生命 申込当日 平日9時~14時30分までの取引で当日着金
平日14時30分以降・土日祝日の取引で翌営業日の着金
住友生命 申込当日 平日8時~17時30分の取引で当日着金
平日17時31分以降・土日祝日の取引で翌営業日の着金
第一生命 申込当日 平日14時30分までの取引で当日着金
平日14時30分以降・土日祝日の取引で当日着金

※ 契約者貸付制度は基本的に振込による貸付となります。

申込当日中に貸付を受けるには、所定の日時までに申し込みを済ませる必要があります。急ぎの事情がある場合は、平日14時30分までを目安に手続きを済ませておきましょう。

なお、すべての保険会社が申込当日中に貸付を行なうわけではありません。保険会社によっては、貸付まで最短でも2営業日~3営業日かかるため、申込日が土日祝日であれば4日~5日程度かかることを踏まえて利用を検討するとよいでしょう。

貸付金は保険の契約期間内であればいつでも返済できる

一般的に契約者貸付制度の貸付金の返済は、保険の契約期間内であれば全額または一部をいつでも返済できます。そのため、数カ月ごとの返済や全額まとめての返済も可能です。

ローン商品のように毎月一定の金額を返済するわけではないため、自身の経済状況にあわせて返済を行なえます。

なお、返済するのは、実際に貸付を受けた金額だけでなく利息を含めた金額です。利息とは、貸付を受けた際に発生する手数料のようなもので、貸付金額や返済期間に応じて変わります。返済時は、保険会社から請求される利息も忘れずに返済するようにしましょう。

契約者貸付制度の利用時に注意すること

契約者貸付制度の利用時には、以下の点に注意しましょう。

【契約者貸付制度の利用時に注意すること】

  • 利用状況によっては保険が失効する場合がある
  • 保険金から貸付金が差し引かれる

契約者貸付制度を利用した場合、利用状況によっては保険が失効して保障を受けられなくなったり、保険金から貸付金が差し引かれたりすることがあります。

とはいえ、保険の失効は自身の利用状況を管理することで防ぐことは可能です。貸付金との相殺によって保険金が少なくなる点も、事前に想定しておくことで、他の方法で足りない金額を補うなどの対策を立てられるでしょう。

利用状況によっては保険が失効する場合がある

貸付金と発生した利息の合計額が解約返戻金の金額を超えると、保険の契約が失効します。実際に複数の保険会社において、「貸付金と利息の合計額が解約返戻金を超えると保険の失効・解約となる」という旨が公表されています。

利用を開始する段階では、貸付金と利息の合計額が解約返戻金を超えることはありません。利用限度額が解約返戻金の一定範囲内で設定されるためです。

貸付金と利息の合計額が解約返戻金を超えるのは、貸付金の返済を行なわずに利息が増えていくような場合です。利息が積み重なって解約返戻金の金額に達すれば、保険は失効となります。

返済までの期間が延びるほど利息が増えるため、返済を行なう余裕がある場合ははやめに返済を行なったり、貸付金の返済が難しい場合は利息のみの返済を行なったりして対策するようにしましょう。

保険金から貸付金が差し引かれる

貸付期間中に事故などで保険金が下りるような事態が発生した際、契約者貸付制度を利用していると保険金から貸付金と利息が差し引かれます。そのため、本来下りるはずの保険金よりも少ない金額を受け取ることになるのです。

たとえば、死亡保険によって100万円の保険金が下りる際に20万円の貸付を受けていれば、100万円から貸付金の20万円と発生した利息を含めた金額が差し引かれることになります。

この場合、保険金から差し引かれたことで貸付金が全額返済できますが、一方で残された遺族などが受け取れる金額が少なくなります。

事故や病気などは予期せずに起こりえる事態であるため、必ずしも事前に対策できるものばかりではありません。とはいえ、保険金を全額受け取るためにも、日ごろからできる範囲で返済を進めることも検討してみてください。

利用後には保険会社所定の利息を支払う

契約者貸付制度で貸付を受けたあとは、保険会社所定の利息を支払うことになります。

発生する利息は各保険会社が定める金利によって異なります。「元金×金利×返済日数÷365」という式で計算されるため、金利が高いほど利息も増える仕組みです。元金とは実際に貸付を受けた金額のことを指します。

【各保険会社の金利と利息の目安】
保険会社 金利 10万円を1年間貸付された場合の利息
日本生命 年2.00% 2,000円
第一生命 年3.00% 3,000円
明治安田生命 年2.15% 2,150円
住友生命 年1.55% 1,550円
かんぽ生命 年2.50%~年2.562500% 2,500円~2,563円

※ 記載の金利は2022年8月24日時点で公表されている数値になります。

調査した保険会社の金利を参考にすれば、契約者貸付制度の金利は年2.00%~年3.00%前後に設定される傾向があると言えます。10万円を1年間貸付された場合に発生する利息は、1,500円~3,000円程度です。

なお、契約者貸付制度を利用する時期・契約している保険・適用される金利によって、発生する利息は異なります。

必ずしも目安の数値・金額通りとは限らないため、正確な金利を把握するには、契約している保険会社の公式サイトを確認するか、電話で問い合わせておきましょう。

利息は複利で計算される

契約者貸付制度の利息は一般的に複利で計算されます。複利とは、利息にもまた利息がつくことです。

複利で貸付を受ける場合、返済しないままだと利息が毎年元金に繰り入れられ、元金と利息の合計額が年々増えていきます。たとえば、元金が10万円で1万円の利息が発生した場合、翌年の元金が11万円となり前年よりも発生する利息が増えることになります。

利息は「元金×金利×返済日数÷365」という計算式で算出されるので、元金が増えれば増えるほど、利息が高くなっていきます。

一方、無担保ローンなどでは、一般的に単利で利息が計算されます。単利の場合は、利息が元金に繰り入れられません。そのため、元金が10万円である場合に1万円の利息が発生した場合でも、翌年も元金は10万円のままです。

つまり、単利と比較して複利は、利息が繰り入れられるごとに元金が増えていき、返済しないままにしておくと雪だるま式で返済額が増えていくことになるのです。

実際に年3.0%の金利で100万円の貸付を受けた場合、複利と単利で利息を計算して3年後に返済をする場合、返済額は以下のように異なります。

【複利による利息の増え方】

【単利による利息の増え方】

年3.0%の金利で100万円の貸付を受けた場合、複利では3年後の返済額は1,101,070円で、単利では1,090,000円です。つまり、複利で計算した場合、単利よりも返済額が11,070円多くなる結果になりました。

複利で計算する場合、返済をしないままでいるほど元金が大きくなり、それに応じて利息も増えていきます。利息の支払いが増えるだけでなく、元金とあわせた金額が解約返戻金を超えれば、契約している保険の失効・解約となる点にも注意が必要です。

契約者貸付制度を利用する流れ

細かい点は保険会社によって異なりますが、契約者貸付制度を利用するときの一般的な流れは以下の通りです。

【契約者貸付制度を利用する流れ】

  • 1、所定の方法で保険会社に契約者貸付制度の申し込みをする
  • 2、振込による貸付を受ける

一般的に、契約者貸付制度の申し込みは、インターネット・電話・店舗窓口から行なえます。申し込みの際には、証券番号や振込先口座の口座番号の申告や、保険会社によっては本人確認書類などの必要書類の提出が必要です。

申込手続きが完了したあとは、指定した口座に振込で貸付を受けられます。基本的に振込先の口座は、保険料の振替口座または任意の金融機関の口座のいずれかです。申込手続きが完了した時間帯によっては、当日中の着金となります。

なお、契約者貸付制度では基本的に振込による貸付となり、直接現金を受け取ることができません。店舗窓口に来店した際も、その場で現金を受け取る形で貸付を受けるのは難しいと考えておきましょう。

契約者貸付制度で返済するときに気を付けること

契約者貸付制度は保険の契約期間内であればいつでも返済できますが、返済しないままにしておくと、返済額が増えていくので注意が必要です。

とくに利息が複利で計算されると、利息が元金に繰り入れられ、年々発生する利息が増えていくことから、雪だるま式に返済額が増えていきます。

基本的に各保険会社では、全額返済・一部のみの返済・利息のみの返済などに対応しており、経済状況にあわせて少額からの返済も可能です。返済負担を少しでも減らすためにも、できるだけはやめの返済を心がけたり、利息だけでも返済したりするとよいでしょう。

なお、保険会社では電話・店舗窓口・金融機関のATM・インターネットから返済に対応しています。返済前に保険会社への連絡が必要な場合もあるので、公式サイトから契約者貸付制度の返済に関するページを参照し、連絡先を確認しておきましょう。

契約者貸付制度に関するQ&A

契約者貸付制度に関するQ&Aは以下の通りです。

【契約者貸付制度に関するQ&A】

  • 誰にも知られずに貸付を受けられますか?
  • 契約者貸付制度で貸付を受けると他のローン審査に影響しますか?

誰にも知られずに貸付を受けられますか?

契約者貸付制度を利用する際、郵送での申し込み等を行なわない限り、基本的に自宅や勤務先へ連絡がきたり郵便物が届いたりすることはありません。

そのため、郵送物や電話連絡が原因で、契約者貸付制度の利用が知られることはないと言えます。

契約者貸付制度で貸付を受けると他のローン審査に影響しますか?

契約者貸付制度での貸付は、他のローン審査に直接影響しません。利用したとしても、信用情報に利用履歴が残らないからです。

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