更新日 : 2023.01.18

ハローワークで生活費の融資を受ける

ハローワークは、各地域において、職業紹介・雇用保険・雇用対策などの業務を行なっていますが、金銭を貸し付ける業務は行なっていません。とはいえ、ハローワークを経由して公的貸付制度に申し込んで貸し付けを受けることは可能です。

公的貸付制度に申し込むには貸付条件を満たしている必要があるため、まずは制度の概要や貸付対象を確認した上で、公的貸付制度を利用できるかどうかを確認してみてください。

ハローワークは申し込みや手続きに対応

ハローワーク自体が貸し付け業務を行なっているわけではありません。

ハローワークでは主に職業紹介・雇用保険・雇用対策といった業務を行なっており、ハローワークを経由した貸付制度の受付等も業務内容に含まれますが、ハローワークから直接融資を受けれるわけではありません。

ハローワークはあくまでも給付や貸付の申し込みや手続きの窓口としての役割を担っているだけであり、貸付は労働金庫といった金融機関が行うことになります。

ハローワークでお金を借りれる求職者支援融資制度へ申込み可能

転職中にハローワークへ確認申請を提出して、貸付条件を満たしていると判断された場合に、求職者支援資金融資要件確認書を提出することにより「求職者支援融資制度」へ申し込むことができます。

求職者支援融資制度とは、求職者支援制度を利用して職業訓練受講給付金を受給する予定の人を対象とした制度です。職業訓練受講給付金の申請をしたうえで、それでも生活費が不足する場合に融資を受けることができます。

2022年5月現在、厚生労働省をはじめとする各省庁で確認したところ、ハローワークを経由した融資制度は求職者支援融資制度に限られていることがわかりました。

厚生労働省が公表する「支援ガイド」には、就職安定資金融資や長期失業者総合支援事業といった公的貸付制度もハローワークへ書類を提出して申し込めると記載されていますが、確認したところ、いずれの制度も2022年5月時点において廃止されているとのことでした。

そのため現在はハローワークで手続きできる公的支援制度は、求職者支援融資制度のみです。

就職安定資金融資は2010年に廃止されている

就職安定資金融資は、事業者都合離職に伴い、住居を喪失した場合などに、住居入居初期費用等の貸付を行なう制度として実施されていました。

しかし、厚生労働省の「就職安定資金融資制度の廃止等について」により、2010年9月末をもってハローワークにおける新規融資の申請受付を終了し、制度を廃止する旨が公表されています。

そのため、2022年現在、ハローワークでは就職安定資金融資の申し込みを受け付けていません。

長期失業者等総合支援事業は2015年に廃止されている

長期失業者等総合支援事業は、長期失業者に対する、民間職業紹介事業者による就職支援のことです。事業の一環として生活費等の資金の貸付が行なわれており、ハローワークが申し込みの窓口となっていました。

長期失業者等総合支援事業については、2014年に行なわれた「行政事業レビュー」において、制度の廃止が決定しています。行政事業レビューとは、中央省庁が予算執行状況を自主的に点検し、各事業を見直して、廃止や予算縮減を決定するものです。

そのため、就職安定資金融資と同じく、長期失業者総合支援事業についても、2022年現在ハローワークにおいて申し込みを受け付けていません。

求職者支援融資制度では申し込みできる対象者を定めている

求職者支援融資制度に申し込むには、厚生労働省が定める貸付対象に該当している必要があります。

【求職者支援融資制度の貸付対象】

  • 職業訓練受講給付金の支給決定(※1)を受けた方
  • ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方

参照元:厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内

職業訓練受講給付金とは、雇用保険を受給できない求職者の生活を支援するための公的制度のことです。ハローワークに通いながら職業訓練を受講する場合に、訓練期間中の生活を支援するための給付を受けられます。

求職者支援融資制度は、職業訓練受講給付金を受けた状態でも職業訓練を受講する間の生活費が足りない場合に借入できる制度です。そのため、求職支援融資制度に申し込むには、職業訓練受講給付金の支給決定を受けていることが条件になります。

また、ハローワークにて求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けることも条件のひとつです。この確認書は、「申込者が貸付を希望する利用が適用であること」「返済をする意思があること」「暴力団員ではないこと」をハローワークが認めたことを証明する書類です。

2つの貸付対象に該当していなければ、求職者支援資金融資制度に申し込めません。給食支援資金融資制度の利用を希望する場合は、貸付対象に該当しているかを確かめておきましょう。

職業訓練受講給付金の手続きもハローワークで行なえる

職業訓練受講給付金を受給する際の手続きも、ハローワークから行なえます。

職業訓練受講給付金は、ハローワークで職業訓練を受けているかつ所定の条件を満たしている場合に申込可能です。具体的には以下のような支給要件が定められています。

【職業訓練受講給付金の支給要件】

  • 本人の収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月25万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
  • 全ての訓練実施日に出席している
  • 世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
  • 過去3年以内に不正行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない

参照元:「職業支援・給付金などについて知る|ハロトレ特設サイト|厚生労働省

職業訓練受講給付金を受給するには、すべての支給要件を満たしている必要があります。一つでも支給要件を満たしていなければ、給付金を受給することはできないと考えておきましょう。

給付金の手続きは、原則として住所を管轄するハローワークで行なえ、事前審査を受けたあとに申請を行なう流れです。手続きの際は、ハローワークで交付される申込書・本人確認書類・支給要件に関する確認書類などを提出する必要があります。

訓練受講や職業訓練受講給付金について詳しく知りたい場合は、ハローワークを利用する際に、担当者に問い合わせるなどしてみてもよいでしょう。

職業訓練受講給付金の手続きに必要な書類

職業訓練受講給付金に申し込む際には、ハローワークから交付される申請書・マイナンバーが記載された書類・本人確認ができる書類・支給要件に関する確認書類などが必要です。

【職業訓練受講給付金の申請に必要な書類の例】
書類の種類 書類の具体例(いずれか1点)
所定の提出書類(※) ・受講申込・事前審査書(安定所提出用)
・職業訓練受講給付金要件申告書
・職業訓練受講給付金通所届
・個人番号の情報連携による地方税関係情報の情報照会に係る同意書
番号確認書類 ・マイナンバーカード
・通知カード
・マイナンバーが記載された住民票の写し
本人確認書類 ・マイナンバーカード
・運転免許証
・運転経歴証明書
・パスポートなど
支給要件に関する確認書類 ・直近3か月以内に交付を受けた住民票の写し
・申請者本人の収入やすべての世帯員の前月の収入を証明する書類
・本人及び世帯員が保有する残高が50万円以上であるすべての預貯金通帳または残高証明
・20歳未満かつ就学中の子がいる場合はその子が就学中であることを証明する書類
・職業訓練受講給付金の振込先となる金融機関の通帳の写し
・その他、ハローワークが求める書類

※ 用紙はハローワークで交付されます
参照元:厚生労働省「求職者支援制度・訓練受講のしおり

職業訓練受講給付金の申請に必要な書類のうち、「所定の提出書類」に該当する書類はハローワークで交付されるものです。そのため、事前にハローワークに来所して書類を受け取り、必要事項を記入したうえで提出する必要があります。

また、厚生労働省の「求職者支援制度・訓練受講のしおり」のページをみると、申請者の状況によっては、追加の書類の提出が必要になるとの記載があります。ただし、どのような場合に追加の書類の提出が必要になるかは公表されていません。

必要な書類が足りないと改めてハローワークに来所する手間が発生することも考えられるため、「所定の提出書類」に該当する書類をハローワークで受け取る際に、追加で提出が必要になる書類がないかどうかもあわせて確認しておくとよいでしょう。

貸付対象に当てはまらない場合は総合支援資金を利用する方法もある

求職者支援融資制度の貸付対象に当てはまらない場合は、総合支援資金という貸付制度を利用するのもひとつの方法です。

総合支援資金とは、失業などによって生活に困窮している場合に、生活の立て直しや経済的な自立を目的として、社会福祉協議会とハローワークなどによる支援を受けながら、貸付を受けられる制度のことです。

総合支援資金を利用すれば、借入額や期間は限られるものの、生活を再建するまでの間の生活費や住宅入居費などを借入できる可能性があります。

総合支援資金の借入金額や用途・貸付対象などの詳細は、政府広報オンラインの「失業して生活にお困りの方など、一時的に生活資金などが必要な方を支援するための「生活福祉資金貸付制度」があります。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン」のページに記載されているので参考にしてみてください。

なお、総合支援資金を利用するには、ハローワークへの求職登録が必要です。登録が済んでいるかつ総合支援資金に関する相談や手続きを希望する際は、最寄りの社会福祉協議会に問い合わせるようにしましょう。

求職者支援融資制度で借りたお金は返済する必要がある

求職者支援融資制度を利用した場合、借入金は返済しなければなりません。

融資月の翌月の末日が最初の返済日となりますが、訓練終了月の3カ月後の末日までは「元金据置期間」として利息のみの返済が認められています。借りた金額の返済の期限は、融資日から5年以内です。

毎月の返済額は、一律で決められているわけではなく、利用者ごとの借入額や返済期間によっても異なります。たとえば、月5万円を12か月の融資を受ける場合、返済期間に応じて以下のように毎月の返済額が異なります。

【月5万円を12か月借入した場合の返済シミュレーション】
返済期間 毎月の返済額 完済までに発生する利息額の合計
1年間 50,816円 9,792円
2年間 25,788円 18,912円
3年間 17,448円 28,128円
4年間 13,280円 37,440円
5年間 10,781円 46,860円

※求職者支援融資制度では年3.0%の金利が適用されます。
※実際の金額とは異なる場合があるため、目安程度にお考えください。

返済シミュレーションの結果から、返済期間を長く設定すると、毎月の返済額が小さくなる一方で、完済までに発生する利息額の合計額は増えていくことがわかります。

逆にいうと、返済期間を短く設定すれば、毎月の返済額は大きくなるものの、発生する利息が抑えられる仕組みです。

毎月の返済額が支払える金額以上に設定されると、融資後の生活が圧迫されることにつながります。そのため、融資を受ける場合は、毎月の収支を踏まえて返済にあてられる金額を把握した上で、その範囲内で貸付の手続きを行ってください。

返済期間を長く設定しても毎月の返済額が支払える金額を超えているような場合は、貸付金額自体を減らすのもひとつの方法です。

返済目処が立っていて求職者支援資金融資制度の利用を検討する場合は、「求職者支援資金融資」のページにて申請方法や審査などについて詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

貸付を受けるまでの生活費がない場合の対処法

求職支援融資制度で融資を受ける場合、住んでいる地域や申請者の状況によっても異なりますが、申請から融資実行日までに一定の時間がかかることがあります。

貸付を受けるまでの生活費が足りない状況にある場合は、臨時特例つなぎ資金貸付制度という公的貸付制度を利用するのもひとつの方法です。

臨時特例つなぎ資金貸付制度とは、求職支援融資制度のような公的貸付制度の申請を受理している状態かつ貸付等の開始までの生活費が足りない場合に利用できる制度になります。

求職支援融資制度で融資実行日までに臨時特例つなぎ資金貸付制度の利用を希望する場合は、厚生労働省の「臨時特例つなぎ資金貸付制度 |厚生労働省」のページに記載されている通り、ハローワークで求職支援融資制度の申込をする際にあわせて相談してみてください。

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