更新日 : 2023.01.11

緊急小口資金

生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金は、「仕事が休業になって収入が減った」「医療費の支払いによって生活費が足りない」のような方へ、10万円を限度として当面の生活費を支給するための特例措置です。

受給対象に該当しており、申請後に行なわれる審査に通過すれば、緊急小口資金を受給できます。そこで、緊急小口資金の概要とともに、貸付対象や利用するまでの流れを解説していきます。

緊急小口資金とは

緊急小口資金とは、緊急かつ一時的に生活の維持が困難になった場合に利用できる少額の貸付資金です。厚生労働省が管轄しており、社会福祉協議会が主体となって実施している「生活福祉資金貸付制度」という公的制度の貸付資金の一つとして定められています。

【緊急小口資金の内容】
貸付限度額 10万円以内
据置期間※ 貸付けの日から2月以内
償還期限※ 据置期間経過後12月以内
貸付利子 無利子
連帯保証人 不要

※据置期間と償還期限を踏まえると、「受給日から2か月が経過してから12か月以内」が受給金の返済期間となります。
参照元:全国社会福祉協議会「(別表1)生活福祉資金一覧」

貸付制度額とは貸付を受けられる上限金額のことであり、緊急小口資金の場合は10万円が上限となります。また、無利子かつ連帯保証人が不要なため、利息が発生しないうえに連帯保証人を立てずに貸付を受けれます。

なお、緊急小口資金を利用できる「緊急かつ一時的に生活の維持が困難になった場合」に該当するケースは、各都道府県の社会福祉協議会が公表しています。

社会福祉協議会が公表する情報を調べる際は、「都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)」を参考にしてみてください。

新型コロナウイルス感染症の影響で生活が苦しい人向けの特例貸付もある

緊急小口資金には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた人向けの特例貸付もあります。新型コロナウイルス感染症の影響によって休業などが原因で収入が減少し、緊急かつ一時的に生活費が必要な人のために用意されています。

【緊急小口資金の特例貸付の概要】
貸付対象者 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、休業等による収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯
(新型コロナウイルス感染症の影響で収入の減少があれば、休業状態になくても、対象となります。)
貸付上限額 20万円以内
※下記に該当する世帯は、従来の10万円以内とする取扱が拡大され、貸付上限額が20万円以内となります。
・世帯員の中に新型コロナウイルス感染症の患者がいるとき
・世帯員に要介護者がいるとき
・世帯員が4人以上いるとき
・世帯員に新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、臨時休業した学校に通う子の世話を行うことが必要となった労働者がいるとき
・世帯員に風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校などに通う子の世話を行うことが必要となった労働者がいるとき
・上記以外で休業などによる収入の減少で生活費用の貸付が必要なとき
据置期間 1年以内
(令和4年3月末日以前に返済が開始される場合、令和4年3月末日まで延長)
償還期限 2年以内
(償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる取扱いとし、生活に困窮された方にきめ細かく配慮します。)
貸付利子 無利子
連帯保証人 不要
申込先 市区町村の社会福祉協議会

参照元:厚生労働省「厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ホームページ | 生活福祉資金の特例貸付 | 緊急小口資金について」

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた人向けの特例貸付を利用するには、申請期間内に住んでいる地域の社会福祉協議会へ相談する必要があります。

申請期間や特例貸付を利用するための手続きに関しては、厚生労働省が公表する情報を参考にしてみてください。

緊急小口資金の受給条件

緊急小口資金を受給するには、生活福祉資金貸付制度の貸付対象に該当している必要があります。自分の世帯が下記のいずれかに該当していれば、生活福祉資金貸付制度の貸付対象となり受給できます。

【生活福祉資金貸付制度の貸付対象】
低所得世帯 資金の貸付けにあわせて必要な支援を受けることにより独立自活できると認められる世帯であって、必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)。
障害者世帯 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者(現に障害者総合支援法によるサービスを利用している等これと同程度と認められる者を含みます。)の属する世帯。
高齢者世帯 65歳以上の高齢者の属する世帯(日常生活上療養または介護を要する高齢者等)。

参照元:全国社会福祉協議会「生活福祉資金|全国社会福祉協議会」

全国社会福祉協議会が定める「低所得世帯」「障害者世帯」「高齢者世帯」であれば、生活福祉資金貸付制度の貸付対象となり、緊急小口資金の申請が可能です。

なお、低所得世帯の定義に関連する「市町村民税非課税」は住んでいる地域によって基準が異なるため、低所得世帯と認められる基準も同様に変わります。低所得世帯に該当しているかを確かめたい場合、住んでいる地域に問い合わせたり、その地域が公表する情報を確認したりして市町村民税非課税となる所得を調べておきましょう。

無職や求職中の人も貸付対象となる

緊急小口資金を利用できる例として、「会社からの解雇、休業等による収入減のため生活費が必要なとき」を挙げている社会福祉協議会もあります。

そのため、住んでいる地域によっては、無職や求職中の人も緊急小口資金の貸付対象になると考えられます。

無職や求職中の場合、自分が緊急小口資金の貸付対象になるのかを、住んでいる地域の社会福祉協議会に相談してみると良いでしょう。
社会福祉協議会の連絡先などを調べる際は、「都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)」を参考にしてみてください。

緊急小口資金を利用できない可能性がある人

下記に該当する場合、緊急小口資金の貸付対象にならない可能性があります。

【緊急小口資金の貸付対象とならない可能性がある人】
  • 他の公的な給付や貸付を受けられる世帯
  • 住所不定の人
  • 仕事できる状態であっても働いていない人

緊急小口資金を利用する場合、自分が貸付対象にならない可能性があるかどうかを確かめてみてください。

他の公的制度からの貸付や給付を受けられる世帯

緊急小口資金を利用するには、生活福祉資金貸付制度の貸付対象に該当していなければなりません。生活福祉資金貸付制度の貸付対象のなかには、「低所得世帯」という対象があります。

【低所得世帯の説明の引用】

必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」
引用元:政府広報オンライン「失業して生活にお困りの方など、一時的に生活資金などが必要な方を支援するための「生活福祉資金貸付制度」があります。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン」

政府広報オンラインの情報を踏まえると、他の公的な給付や貸付を受けられる世帯は、低所得世帯として生活福祉資金貸付に申し込めないと言えます。つまり、生活保護のような他の公的制度を利用できる場合、低所得世帯として生活福祉資金貸付制度に申し込めず、緊急小口資金を利用できません。

低所得世帯として緊急小口資金を申請する場合、他に公的な給付や貸付を受けられないかを住んでいる地域の社会福祉協議会に相談してみると良いでしょう。

住所不定の人

緊急小口資金を利用するには、住んでいる地域の社会福祉協議会に相談が必須となります。住所が不定の場合は生活の本拠となる地域を証明できず、相談先となる社会福祉協議会がありません。そのため、緊急小口資金の貸付対象にならない可能性があります。

住所が不定の場合は、住まいが定まるまで緊急小口資金を利用できないと考えられます。

仕事できる状態であっても働いていない人

低所得世帯として緊急小口資金を利用する場合、「他の公的な支援を受けられないこと」が条件となります。他の公的制度を利用できる場合は、低所得世帯としては緊急小口資金を利用できません。

そして、仕事ができる状態であっても働いていない場合、「求職者支援資金融資制度」などの公的制度を利用することで生活を立て直せる可能性もあります。

つまり、仕事ができる状態であっても働いていない人は、「他の公的制度によって生活を立て直せる」と社会福祉協議会から判断されて、緊急小口資金を利用できないことも推測できるのです。

とはいえ、「働きたくても働けない」のような事情がある場合、社会福祉協議会から緊急小口資金の貸付対象と判断される可能性もあります。その場合、住んでいる地域の社会福祉協議会に事情を相談してみると良いでしょう。

緊急小口資金の貸付を受けるまでの流れ

緊急小口資金を利用する手順は、下記のとおりです。

【緊急小口資金利用する手順】


※全国社会福祉協議会「生活福祉資金」を参考に作成したイラストです

緊急小口資金から貸付を受けるまでの期間は、地域の社会福祉協議会の混雑状況によって変わるため、「〇日後に必ず貸付を受けることができる」とは断言できません。

東京都の社会福祉協議会では、申し込みから資金交付まで最短でも5営業日かかります。そのため、東京都の社会福祉協議会の場合、状況次第では申し込みから5営業日で貸付される可能性もあると言えます。

緊急小口資金の貸付日の目安を知りたい場合、住んでいる地域が公表する情報を調べたり、市区町村の社会福祉協議会に電話をしたりすると良いでしょう。

自立相談支援機関への相談

緊急小口資金を利用する場合、社会福祉協議会に相談する前に、自立相談支援機関への相談が必要です。

自立相談支援機関とは、生活が困窮している人を支援するための相談窓口のことです。相談者の生活状況を伝えたうえで、自立した生活を送るためのプランを立ててもらえます。

自立相談支援機関に現在の生活状況を説明して、緊急小口資金の利用が必要だと判断されれば申請が可能です。

緊急小口資金の利用に関して自立相談支援機関へ相談する際は、住んでいる市区町村の窓口に出向くか電話をする必要があります。緊急小口資金を利用する場合、厚生労働省が公表する情報を参考に、事前に住んでいる市区町村の自立相談支援機関を調べておきましょう。

不都合な事情があっても隠さずに説明する

緊急小口資金を利用したい場合、たとえ不都合な事情があっても、隠さずに自立相談支援機関に自分の状況を説明しましょう。不都合だからといって事情を隠してしまうと、虚偽が発覚した際に、貸付金の一括返済を求められる危険性があります。

【虚偽申告に関する記載の引用】

虚偽の申請や不正な手段により資金を借りた場合、または貸付金を利用目的以外に使用した場合は、貸付金を即時に一括返済していただきます。
引用元:東京都社会福祉協議会「緊急小口資金のご案内」

どのような事情があっても、自立相談支援機関の担当者から尋ねられたことには、虚偽のない正しい情報を伝えるようにしてください。

市区町村の社会福祉協議会への相談

自立相談支援機関に相談して、緊急小口資金の利用が必要だと判断された後は、住んでいる市区町村の社会福祉協議会への相談が必要です。

社会福祉協議会に緊急小口資金の利用に関する相談をする際は、必要書類の提出が求められます。提出が求められる必要書類は、住んでいる地域の社会福祉協議会によって異なります。

たとえば、東京都新宿区の社会福祉協議会では、緊急小口資金を利用する際に下記の書類が必要です。

【緊急小口資金を利用する際に必要な書類】
  • 借入申込書
  • 住民票の写し(世帯員全員分、発行後3ヶ月以内のもの)
  • 健康保険証または顔写真つきの本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
  • 借入申込者の世帯の収入証明(源泉徴収票の写しや確定申告書の写し等)
  • 借用書
  • 預金口座振替依頼書
  • 借入理由による確認書類※

※相談時に担当者から必要書類に関する説明があります
参照元:新宿区社会福祉協議会「緊急小口資金のご案内」

緊急小口資金を利用する場合、住んでいる地域の社会福祉協議会でどのような書類が求められるのかを調べておくと良いでしょう。

都道府県の社会福祉協議会での審査

必要書類を提出した後は、都道府県の社会福祉協議会にて審査が行なわれます。緊急小口資金を利用するには、審査に通過しなければなりません。

関東地方の社会福祉協議会に電話調査をしたところ、東京都の社会福祉協議会のみ「信用情報を審査時に確認する場合もある」との回答が得られました。

信用情報とは、ローンやクレジットカードなどの利用履歴のことです。具体的には、契約内容や支払状況などが該当します。

可能性としては、東京都以外の社会福祉協議会も審査時に信用情報を確認していることも考えられます。そのため、過去にローンやクレジットカードなどで延滞を起こした場合、信用情報にその履歴が残っていると、緊急小口資金の審査に何かしらの影響を及ぼす危険性も否定できません。

都道府県の社会福祉協議会へ借用書の提出

緊急小口資金の審査に通過した後は、都道府県の社会福祉協議会に借用書を提出します。借用書を提出する場合は、事前に下記のような情報を記入しておく必要があります。

【借用書に記入する情報の例】
  • 借入金額
  • 借受人の住所
  • 借受人の名前
  • 借受人の生年月日

参照元:茨城県社会福祉協議会「緊急小口資金申込様式」

社会福祉協議会へ借用書を提出した後は、指定した銀行口座への振込により、緊急小口資金が貸付されます。

緊急小口資金は返済する必要がある

緊急小口資金は貸付制度であるため、利用した場合は貸付金を返済しなければなりません。

緊急小口資金では、「償還期限が据置期間経過後12月以内」「据置期間が貸付けの日から2月以内」と定められているため、「貸付日から2か月経過してから12か月以内」に貸付金を返済する必要があります。

返済額は利用者の状況によって異なるため、社会福祉協議会へ相談する際に、返済額がどの程度の金額になるのかを担当者に聞いておくと良いでしょう。

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