更新日 : 2023.01.11

教育支援資金

「学校の入学が控えているけど入学費が足りない」「進学が控えているけど授業料や教材費が払えない」といった場合、教育支援資金によって学費を工面できる可能性があります。

教育支援資金を利用するには、自分の世帯が貸付対象に該当しているうえで、審査に通過しなければなりません。そこで、教育支援資金の概要や貸付対象、手続きの流れについて解説するため、学費の貸付を受けたい場合は参考にしてみてください。

教育支援資金とは生活福祉資金貸付制度の資金のこと

教育支援資金とは、「生活福祉資金貸付制度」という公的制度で定められた貸付資金の一つのことです。生活福祉資金貸付制度は厚生労働省が管轄となり、「社会福祉協議会」という民間の組織を主体に実施されています。

教育支援資金は、所得の少ない世帯に対して貸付することで、進学や修学の継続を支援し、世帯の将来的な自立につなげることを目的として定められました。

住んでいる地域に設置された社会福祉協議会に相談することで教育支援資金の申請が可能で、利用できれば高校や大学、短大、専門学校の進学や入学などにかかる費用の貸付を受けれます。

教育支援資金には2つの資金がある

教育支援資金には、「教育支援費」「就学支度費」という2つの資金があります。

まず「教育支援費」とは、低所得世帯に属している人が高校、大学、高等専門学校などに就学するのに必要な貸付資金です。利用することで、学校の授業料や通学にかかる交通費などに使える資金を、無利子かつ連帯保証人が原則不要で貸付されます。

【教育支援費】
貸付限度額 高校:月3.5万円以内
高専:月6万円以内
短大:月6万円以内
大学:月6.5万円以内
※特に必要と認める場合は、各限度額の1.5倍まで貸付可能
据置期間※ 卒業後6月以内
償還期限※ 据置期間経過後20年以内
貸付利子 無利子
連帯保証人 原則不要
※世帯内で連帯借受人が必要

※「据置期間」と「償還期限」を踏まえると、「卒業から2か月が経過してから20年以内」が貸付金の返済期間となります
参照元:全国社会福祉協議会「(別表1)生活福祉資金一覧」

教育支援費では、就学先によって貸付金額の上限(貸付限度額)が変わります。たとえば、大学に就学するための資金の貸付を受けたい場合、貸付限度額はひと月6.5万円と定められています。

次に「就学支度費」とは、低所得世帯に属している人が高校、大学、高等専門学校などに入学するのに必要な貸付資金です。利用することで、学校の入学費や制服の購入費などに使える資金を無利子かつ連帯保証人が原則不要で貸付されます。

【就学支度費】
貸付限度額 50万円以内
据置期間※ 卒業後6月以内
償還期限※ 据置期間経過後20年以内
貸付利子 無利子
連帯保証人 原則不要
※世帯内で連帯借受人が必要

※「据置期間」と「償還期限」を踏まえると、「卒業から2か月が経過してから20年以内」が貸付金の返済期間となります
参照元:全国社会福祉協議会「(別表1)生活福祉資金一覧」

就学支度費から貸付する金額の上限(貸付限度額)は、50万円以内と定められています。

教育支援資金の利用条件

教育支援資金は、低所得世帯と認められた世帯が利用できる貸付資金です。低所得世帯と認められるのは、生活福祉資金貸付制度で定められた基準に該当する世帯です。

【低所得世帯の基準】

低所得世帯…資金の貸付けにあわせて必要な支援を受けることにより独立自活できると認められる世帯であって、必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)。
引用元:全国社会福祉協議会「生活福祉資金|全国社会福祉協議会」

生活福祉資金貸付制度で定められた「低所得世帯」に該当しなければ、教育支援資金を利用できません

なお、低所得世帯の定義に関連する「市町村民税非課税」は、住んでいる地域によって基準が異なるため、低所得世帯と認められる基準も同様に変わります。

低所得世帯に該当しているかを確かめたい場合、住んでいる地域がインターネットで公表する情報を参考にしたり、窓口に問い合わせたりして市町村民税非課税となる所得を調べておきましょう。

住んでいる地域の社会福祉協議会ごとに利用条件が定められている

社会福祉協議会は各都道府県に設置されており、それぞれの社会福祉協議会で教育支援資金の貸付対象が定められています。たとえば、東京都の社会福祉協議会では、教育支援資金の貸付対象が下記のように定められています。

【東京都の社会福祉協議会が定める貸付対象】
貸付対象 備考
世帯の収入が収入基準を超えない世帯であること 世帯の収入が収入基準(平均月収)を超えないこと。収入基準は毎年改定される
※世帯の収入額から、家賃、住宅ローンの返済、定期的支出(療養費・仕送り)について、一定金額を差し引けます
日常生活には困っていないが、修学のためにまとまった資金を必要としていること
世帯の収入により、学校卒業まで生計維持が可能な状況であること
東京都内にお住まいの世帯であり、住民票の住所と現住所が一致していること 修学者とその生計中心者が別住所に居住している場合は相談が必要
社会福祉協議会が債権者である貸付制度の連帯保証人及びその世帯員ではないこと 不動産担保型生活資金、受験生チャレンジ支援貸付事業を除く
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員である者が属する世帯ではないこと

※教育支援資金においては、生計を同一にしている家族を一つの「世帯」と考えます。電気・ガス・水道のメーターが別である二世帯住宅で生活している場合を除き、同じ住居で生活をしている親族・家族は同一世帯であると考えます。
参照元:東京都社会福祉協議会「教育支援資金のご案内」

各社会福祉協議会で定められた貸付対象に自分の世帯が該当しなければ、教育支援資金を利用できません。教育支援資金を利用したい場合、住んでいる地域の社会福祉協議会で貸付対象に該当しているかを調べておきましょう。

住んでいる地域の社会福祉協議会を探す際は、「都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)|全国社会福祉協議会」を参考にしてください。

教育支援資金を利用できない可能性がある例

下記に該当する場合、教育支援資金の貸付対象にならない可能性があります。

【教育支援資金を利用できない可能性がある例】
  • 他の公的制度からの貸付や給付で学費を用意できる世帯
  • 生活が困窮している世帯
  • 保護者からの同意がとれない人

教育支援資金を利用したい場合、利用できない可能性があるかどうかを確かめておきましょう。

他の公的制度からの貸付や給付で学費を用意できる世帯

教育支援資金を利用するには、生活福祉資金貸付制度の貸付対象である「低所得世帯」に該当していなければなりません。内閣府大臣官房政府広報室が運営する「政府広報オンライン」では、下記のように低所得世帯の説明が記載されています。

【低所得世帯の定義】

必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」
引用元:政府広報オンライン「失業して生活にお困りの方など、一時的に生活資金などが必要な方を支援するための「生活福祉資金貸付制度」があります。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン」

政府広報オンラインの情報を踏まえると、他から学費を借入できる世帯は、生活福祉資金貸付制度で定められた低所得世帯とみなされないと言えます。そのため、奨学金や国の教育ローンなどを利用することで必要な学費を用意できる場合、生活福祉資金貸付制度に申し込めず、教育支援資金を利用できません。

なお、現時点で奨学金や国の教育ローンなどから学費の貸付を受けている場合も、社会福祉協議会の担当者の判断によっては、教育支援資金を利用できる可能性があります。「すでに奨学金の貸付を受けているが、学費が足りない」のような場合も、一度住んでいる地域の社会福祉協議会に相談することを検討してみてください。

住んでいる地域の社会福祉協議会を探す際は、「都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)|全国社会福祉協議会」を参考にしてください。

生活が困窮している世帯

「学費だけでなく生活費を用意することも厳しい」という世帯は、教育支援資金を利用できない可能性があります。地域によっては、「日常生活には困っていないが、学費が足りない世帯」を教育支援資金の貸付対象としている社会福祉協議会もあるからです。

たとえば、東京都の社会福祉協議会では、教育支援資金の貸付対象の一つに下記が定められています。

【教育支援資金の貸付対象】

日常生活には困っていないが、修学のためにまとまった資金を必要としていること
引用元:東京都社会福祉協議会「教育支援資金のご案内」

東京都の社会福祉協議会では、日常生活に困るほど生活資金がない場合、教育支援資金の貸付対象となりません。「学費だけでなく生活費を用意することも厳しい」という場合、住んでいる地域の社会福祉協議会の貸付対象を確認しておくと良いでしょう。

なお、生活費を用意するのが難しい場合、教育支援資金以外の生活福祉資金貸付制度の利用を社会福祉協議会の担当者から提案してもらえる場合もあります。生活を立て直すために、住んでいる地域の社会祉協議会に相談することも検討してみてください。

保護者からの同意がとれない人

教育支援資金では、利用するうえで連帯借受人が必須と定められています。連帯借受人とは、貸付を受ける人と連帯して返済を行なう人のことです。

教育支援資金においては、基本的に世帯の生計を立てている人が連帯借受人となります。そのため、世帯の生計を立てている保護者からの同意がとれない場合、連帯借受人を立てることができず、教育支援資金を利用できません。

【連帯借受人の定義】

借受者と連帯して債務を負担する方です。原則として借受人の世帯の生計中心者となります。修学資金(高校進学)を例に取りますと申込者は高校に進学を希望する方で、原則として保護者の方が連帯借受人になります。
引用元:神奈川県相模原市社会福祉協議会「連帯保証人・連帯借受人とは?:相模原市社会福祉協議会」

教育支援資金を利用する場合、申請の手続きをする前に、保護者に連帯借受人となってもらうための同意をとっておくようにしましょう。

教育支援資金で学費の貸付を受けるまでの流れ

教育支援資金で学費の貸付を受けるまでの流れは、下記のとおりです。

【教育支援資金で学費の貸付を受けるまでの流れ】


(※)全国社会福祉協議会「生活福祉資金|全国社会福祉協議会」を参考に作成したイラストです

教育支援資金から学費の貸付を受けるまでの期間は、地域の社会福祉協議会の混雑状況や利用する資金によって変わるため、「〇日後に必ず貸付を受けれる」とは断言できません。

関東地方にある社会福祉協議会に電話調査したところ、申請から初回貸付日の期間の目安が1か月程度であるとの回答が得られました。教育支援資金を利用する場合、貸付を受けるまでは申請してから1か月程度かかると想定しておくと良いでしょう。

住んでいる市区町村の社会福祉協議会に相談する

教育支援資金を申請するには、社会福祉協議会への相談が必要になります。担当者に相談したうえで、自分の世帯が貸付対象であると判断されれば、教育支援資金の申請手続きを行なえます。

教育支援資金の利用に関する相談先は、住んでいる市区町村の社会福祉協議会です。窓口だけでなく電話での相談も可能なため、教育支援資金を利用したい場合、住んでいる市区町村にある社会福祉協議会の住所や電話番号を調べておくと良いでしょう。

相談時には正しい情報を担当者に伝える

教育支援資金を利用したい場合、たとえ不都合な事情があっても、隠さずに社会福祉協議会へ自分の状況を説明しましょう。不都合だからといって事情を隠してしまうと、虚偽が発覚した際に、貸付金の一括返済を求められる危険性があります。

【虚偽申告に関する記載】

虚偽の申請や不正な手段により資金を借りた場合、貸付金を即時に一括返済していただきます。
引用元:東京都社会福祉協議会「教育支援資金のご案内」

どのような事情があっても、社会福祉協議会の担当者から尋ねられたことには、虚偽のない正しい情報を伝えるようにしてください。

必要書類を提出する

社会福祉協議会に相談する際は、必要書類の提出が担当者から求められます。

提出が求められる必要書類は、住んでいる地域の社会福祉協議会によって異なります。たとえば、東京都世田谷区の社会福祉協議会で教育支援資金を利用する際に必要な書類の例は下記のとおりです。

【教育支援資金を利用する場合に求められる必要書類の例】
  • 借入申込書
  • 住民票の写し(世帯員全員分、発行後3ヶ月以内のもの)
  • 借入申込者の世帯の収入証明(源泉徴収票の写しや確定申告書の写し等)
  • 学校に関する書類(募集要項、合格通知書、在学証明書、他の奨学金制度などの決定状況がわかる書類 など)

参照元:東京都世田谷区社会福祉協議会「教育支援資金のご案内」

教育支援資金を利用する場合、地域の社会福祉協議会でどのような書類が求められるのかを事前に調べておくと良いでしょう。

都道府県の社会福祉協議会で審査が行なわれる

必要書類を提出した後は、社会福祉協議会にて審査が行なわれます。審査が完了すると「貸付決定通知書」または「不承認通知書」が届き、「貸付決定通知書」が送付されれば教育支援資金を利用できます。

審査に通る基準や審査の内容について、都道府県の社会福祉協議会がインターネットで公表する情報を調査しましたが、いずれでも公表されていませんでした。そこで、関東地方の社会福祉協議会に電話調査をしたところ、東京都の社会福祉協議会からは「信用情報を審査時に確認する場合もある」との回答が得られました。

信用情報とは、ローンやクレジットカードなどの利用履歴のことです。具体的には、契約内容や支払状況などが該当します。

可能性としては、東京都以外の社会福祉協議会も、教育支援資金の審査時に信用情報を確認していることも考えられます。そのため、同世帯の人が過去にローンやクレジットカードなどで延滞を起こしていた場合、信用情報にその履歴が残っていると、教育支援資金の審査に何かしらの影響を及ぼす危険性も否定できません。

都道府県の社会福祉協議会に借用書を提出する

教育支援資金の審査に通過した後は、都道府県の社会福祉協議会に借用書を提出します。借用書を提出する場合は、事前に下記のような情報を記入しておく必要があります。

【借用書に記入する情報の例】
  • 借受人の名前
  • 連帯借受人の名前
  • 連帯保証人の名前(設定している場合のみ)
  • 親権者の名前

参照元:東京都社会福祉協議会「教育支援資金のご案内」

社会福祉協議会へ借用書を提出した後は、指定した銀行口座への振込により、教育支援資金から資金の貸付を受けれます。

教育支援資金の返済方法

教育支援資金は貸付制度であるため、利用した場合は貸付金を返済しなければなりません。

教育支援資金では、どちらの資金も「据置期間が卒業後6月以内」「償還期限が据置期間経過後20年以内」と定められているため、「卒業して6か月経過してから20年以内」に貸付金を返済する必要があります。

返済額は世帯の状況によって異なるため、社会福祉協議会へ相談する際に、返済額がどの程度の金額になるのかを担当者に聞いておくと良いでしょう。

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