更新日 : 2023.01.13

交番や警察から交付を受けられる公衆接遇弁償費

公衆接遇弁償費(こうしゅうせつぐうべんしょうひ)は、警察官から交通費などに使用できる弁償費の交付を受けられる制度です。

「定期券を落としてしまった」「財布が盗まれてしまった」といった緊急時に、利用条件を満たしていると判断されれば、交付を受けられます。

公衆接遇弁償費の利用を検討している場合、利用するための条件や弁償費の交付を受けるまでの流れを確認してみてください。

交番や警察からお金を借りる公衆接遇弁償費とは

公衆接遇弁償費とは、警察から貸出しを受けることができる制度のことです。特別な事情により緊急的に資金を必要としている一般市民のために定められました。

公衆接遇弁償費で貸出しを受けられる例は下記のとおりです。

・外出先で所持金を盗まれ、又は遺失した者に対する交通費
・行方不明等の保護にあたり、応急的な措置に要する経費
・行路病人の保護又は交通事故等による負傷者の救護にあたり、一時的応急措置に要する経費
・その他公衆接遇の適正を期するため必要とする経費
引用元:警視庁「訓令・通達一覧」(公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について)

たとえば、「財布をなくした」「金銭を盗まれた」といった場合、警察から交通費を弁償費として交付されます。

限度額は原則数百円~1万円程度

公衆接遇弁償費の限度額は下記のとおりでした。

都道府県 限度額
岩手県 原則500円
群馬県 原則1,000円
山梨県 原則3,000円
京都府 原則10,000円
熊本県 原則5,000円

限度額は、数百円から1万円程度の傾向がありました。

ただし、あくまで原則であるため、状況によっては限度額よりも多い金額の弁償費を受け取れる可能性も考えられます。必要以上に貸出を受けられるわけではありませんが、どうしても限度額よりも多い金額が必要な場合、警察官に事情を相談してみることも一つの手です。

未成年者は保護者の同意が必要になる

未成年者が公衆接遇弁償費で警察から貸出を受ける場合、保護者の同意が必要になると考えられます。民法第5条で、下記のように定められているからです。

【民法第5条の引用】

第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
引用元:e-Gov「民法 | e-Gov法令検索」

民法第5条にある法定代理人とは、法律に基づいて、本人の代理になる人のことです。未成年者の場合、親や親族などが保護者に該当します。

東京三弁護士会の弁護士に「公衆接遇弁償費で警察官から貸出を受けることは、法律行為に該当するのか」と電話で尋ねたところ、「状況にもよるが、法律行為にもなり得る」との回答が得られました。

そのため、未成年者が利用する場合、民法第5条の観点から、警察官から保護者の人に連絡が入る可能性があります。

公衆接遇弁償費に対応している都道府県は限定されている

47都道府県のうち、公衆接遇弁償費に対応していることを公表している都道府県は下記です。

公衆接遇弁償費に対応していない県もあります。たとえば、香川県の警察は対応していません。

公衆接遇弁償費で貸出を受ける場合、各都道府県が対応しているのか確認してみてください。

公衆接遇弁償費に対応していない県でも貸出を受けれる可能性はある

公衆接遇弁償費に対応していない県であっても、警察から交通費などに使用できる弁償費の交付を受けれます。実際に、香川県の警察に確認をしたところ、「警察官の個人的な判断で交通費などを交付する場合も考えられる」との回答が得られました。

相談すれば必ず警察から貸出を受けられるわけではありませんが、対応していない都道府県にいる場合、近くの交番に電話などで相談することも一つの手だと言えます。

公衆接遇弁償費を利用するまでの流れ

公衆接遇弁償費を利用して貸出を受けるまでの流れは、下記のとおりです。

1.警察官に相談する

公衆接遇弁償費を利用するには、まず警察への相談が必要です。条件に該当していると警察官、または警察職員から判断されれば、公衆接遇弁償費で貸出を受けられます。

公衆接遇弁償費の相談ができるのは、交番だけでなく、警察署や地域安全センターなども含まれます。

【交番以外の相談先】
  • 警察署
  • 地域安全センター
  • 警察署の警ら無線自動車(パトカー)
  • 運転免許試験場
  • 鉄道警察隊分駐所
  • 駐在所

参照元:警視庁「訓令・通達一覧」(公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について)

「交番よりも警察署のほうが近くにある」のような場合、交番以外で勤務する警察官に相談することも一つの手だと言えます。

2.借受願書に個人情報を記入する

「公衆接遇弁償費を利用する条件を満たしている」と警察官から判断された後は、「借受願書」という書類に個人情報を記入します。基本的に警察官へ提出する物はなく、借受願書に個人情報を記入すれば、貸出を受けられます。

【借受願書に記入する個人情報の例】
  • 日付
  • 住所
  • 職業
  • 電話番号
  • 氏名
  • 生年月日
  • 年齢
  • 借入金額
  • 貸出を受ける理由

参照元:警視庁「訓令・通達一覧」(公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について)

ただし、「財布の紛失や盗難により身分証明書がない」という場合でなければ、警察官から身元の確認のために、運転免許証などの身分証明書の提出が求められることもあります。手元に身分証明書がある場合は、持参したうえで交番や警察署に出向くと良いでしょう。

個人情報は正しい情報を記入する

借受願書に個人情報を記入する場合、正しい情報を書くようにしてください。

「財布の紛失や盗難により身分証明書がない」という場合であっても、返済する時に身分証明書の提出が再度求められる可能性もあります。この場合、個人情報に虚偽があると、身分証明書の提出時に虚偽が警察官へ知られることとなります。

「貸出金が少額だから」「すぐ返しに来るから」という状況でも、借受願書には正しい個人情報を記入するようにしましょう。

3.貸し出し金と返済書を受け取る

借受願書に個人情報を記入した後は、警察から貸し出しを受けれます。その際、「返済書」という書類も渡されます。

貸出金を返済する際に提出が求められるため、警察から貸し出しを受けた後は、返済書を失くさないように保管するように気をつけましょう。

公衆接遇弁償費の返済方法

公衆接遇弁償費は、は貸し出しを受けた場所へ返済しに行かなければなりません。たとえば、交番の警察官から貸出を受けた場合、その交番へ出向き返済します。

ただし、弁済費の交付場所と自分の住居が遠い場合は、最寄りの交番や警察署で返済できます。交付場所が遠方で返済が困難な場合は、最寄りの交番や警察署などの警察官に事情を説明して、返済すると良いでしょう。

公衆接遇弁償費は必ず返済する

公衆接遇弁償費を利用した場合、必ず返済しましょう。弁償費を返さないことは、「寸借詐欺(すんしゃくさぎ)」という詐欺行為に該当するからです。

寸借詐欺とは、人の善意につけこんで資金を騙し取る行為のことです。

2018年11月の埼玉新聞「「電車賃を貸して」寸借詐欺の容疑、男逮捕 モデルハウスで住宅購入検討を装い、1万円だまし取る/川越署」には、「財布を忘れた」と嘘をついて電車賃を騙し取ったため、寸借詐欺の容疑で逮捕されたニュースがあります。

たとえ貸し出しを受ける金額が少額であっても、必ず返済するようにしてください。

財布をなくしたときは警察に遺失届を出しておく

紛失や盗難により財布をなくした場合、警察に遺失届を出しておきましょう。遺失届を出しておけば、後日財布が戻ってくる可能性があります。

警察に遺失届を出す際は、身分証明書とともに下記の情報を申告する必要があります。

  • 名前、住所、電話番号
  • 紛失した日時と場所
  • 紛失した物の個別番号や記名
  • 紛失した物の色や形

参照元:警察庁「警察庁遺失届情報サイト|遺失届とは?遺失届のポイント」

各都道府県の警察が拾い物の情報を公表しているページについては、警察庁「都道府県警察における遺失物の公表ページ|警察庁Webサイト」を参考にしてみてください。

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