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クレジットカードの基礎知識

クレジットカードの海外旅行傷害保険

クレジットカードの中には、海外旅行傷害保険が付帯しているものがあります。海外旅行傷害保険は傷害保険の一種で、海外での事故や病気などによって発生した費用を補償規定に基づいて補償する保険です。

海外旅行傷害保険が付帯するクレジットカードを持っている場合、旅行や留学、出張などで海外に滞在している間の事故や病気などの際に、補償規定に定められた条件を満たせば補償を受けられます。また、海外旅行傷害保険が付帯するクレジットカードを複数枚持った場合は、各カードの補償規定に基づいて、それぞれのカードの保険を同時に適用できる可能性があります。

この記事では、クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険について、補償内容の概要やクレジットカードごとに異なる部分などを説明します。

クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険の補償内容

海外旅行傷害保険とは、海外でのケガや病気の治療費、事故による携行品の損害などの費用を補償する保険のことです。

問80
海外旅行傷害保険は、どのような保険ですか。

答え
海外旅行中に被ったケガや病気による死亡・後遺障害・治療費用のほか、賠償責任、携行品損害、救援者費用などを補償する保険です。(以下略)


※引用元:日本損害保険協会 損害保険Q&A「問80 海外旅行傷害保険は、どのような保険ですか。

海外の病院で治療を受けたときや、ホテルの備品を壊して損害賠償請求をされたときなどに、海外旅行傷害保険の補償によって費用負担を減らせる可能性があります。

クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険に含まれる補償項目としては、以下のようなものがあります。ただし、クレジットカードによっては、以下のうち一部の補償項目しか含まれていない場合や、他の補償項目が含まれる場合もあるので、どのような補償項目が含まれているのかは必ず把握するようにしましょう。

傷害死亡・後遺障害

傷害死亡・後遺障害保険とは、旅行期間中の事故によるケガが原因で死亡あるいは後遺障害が発生した場合に、補償規定に基づいて支払われる保険金です。
傷害死亡保険については、保険金を支払う原因となったケガですでに後遺障害保険金が支払われている場合、傷害死亡保険金の最高補償額から後遺傷害保険金を差し引いた金額が支給されます。

傷害治療

傷害治療費用とは、ケガが原因で医師の治療を受けて治療費・入院費が発生した場合に、補償規定に基づいて支払われる保険金です。規定に定められた条件を満たしていれば、最高補償額の範囲内で医療費の実費が補償されます。

疾病治療

疾病治療費用とは、病気が原因で医師の治療を受けて治療費・入院費が発生した場合に、補償規定に基づいて支払われる保険金です。規定に定められた条件を満たしていれば、医療費の実費が補償されます。

賠償責任

賠償責任保険とは、他人にケガを負わせたり、他人の物を壊したりして損害賠償責任を負った場合に、賠償金を負担してもらえる保険金です。賠償金を負担してもらえるのは法律上の賠償責任を負った場合に限ります。

携行品損害

携行品損害保険とは、自分の持ち物が破損・盗難に遭った場合の損害を補償する保険です。

携行品損害の補償には免責金額が定められている場合があります。免責金額とは、カード会員が自己負担しなければならない金額のことです。
仮に、携行品損害の最高補償額が20万円で免責金額が3,000円であれば、携行品損害として補償される金額は19万7,000円までになります。

救援者費用

救援者費用とは、海外でケガや病気をして家族が現地に駆け付けた場合の交通費や宿泊費を補償する保険です。

補償の対象外となる可能性がある条件

クレジットカードの海外旅行傷害保険には、補償項目ごとに補償条件が定められています。事故・病気の原因や損害を受けた物品の種類などによっては、補償を受けられない場合があるため、補償項目だけでなく補償条件も合わせて確認しておくと良いでしょう。

補償条件はクレジットカードによって異なりますが、たとえば三井住友カードの海外旅行傷害保険では、以下のような場合に補償の対象外になるとされています。

【補償の対象外となる条件の例(三井住友カード)】

補償項目 補償対象外となる条件の例
傷害死亡・後遺障害
傷害治療
・保険契約者・被保険者・保険金受取人の故意または重大な過失による事故
・むちうち、腰痛で医学的他覚所見のないもの
・被保険者が危険なスポーツ活動中(山岳登はん、スカイダイビングなど)の事故 など
疾病治療 ・妊娠・出産・早産または流産およびこれらに起因する病気
・歯科疾病
・旅行開始前から発病していた疾病、旅行終了後48時間経過後に発病した疾病 など
賠償責任 ・被保険者が使用・管理中の財物に生じた事故
・職務遂行に直接起因する事故
・被保険者の親族に対する事故 など
携行品損害 ・保険契約者・被保険者・保険金受取人の故意または重大な過失による事故
・携行品の置き忘れ、紛失による事故
・現金、クレジットカード、運転免許証、コンタクトレンズなどの損害 など
救援者費用 ・保険契約者・被保険者・保険金受取人の故意または重大な過失による事故
・旅行開始前から発病していた疾病を原因とする入院
・無資格運転、酒酔運転・麻薬など使用中に生じた事故 など

※参照元:三井住友カード公式サイト「保険金をお支払いできない場合について

海外旅行傷害保険が付帯するクレジットカードを持っていても、上記のような条件に該当する場合は補償を受けられないため注意してください。

複数枚のクレジットカードを保有すると補償額を合算できる場合がある

複数枚のクレジットカードを保有している場合は、それぞれに付帯する海外旅行傷害保険の補償規定に基づいて、各カードの保険を同時に適用できる場合があります。複数の海外旅行傷害保険が同時に適用できる場合、各補償項目の最高補償額はそれぞれの保険の最高補償額を合算した金額になります。
ただし、傷害死亡・後遺障害については、原則として最も補償額が高い保険のみが適用され、複数の保険の補償額を合算することはできません。

たとえば、楽天カードとエポスカードの2枚を持っている人は、各カードの補償規定に定められた条件を満たせば、以下の補償を受けられる可能性があります。

【楽天カードとエポスカードを併用した場合の保険金額】

補償項目 楽天カード エポスカード 合計
傷害死亡・後遺障害 最高2,000万円 最高500万円 最高2,000万円
傷害治療費用 最高200万円 最高200万円 最高400万円
疾病治療費用 最高200万円 最高270万円 最高470万円
賠償責任 最高2,000万円 最高2,000万円 最高4,000万円
救援者費用 最高200万円 最高100万円 最高300万円
携行品損害 最高20万円 最高20万円 最高40万円

各補償項目の補償条件や補償額を合算できる条件は、クレジットカードによって異なる場合があるので、カード会社の公式サイトや保険の補償規定を確認してみましょう。

クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険の保険期間

海外旅行傷害保険の補償規定を確認するときは、予定している海外滞在期間に対して保険の適用期間が足りているかどうかも見ておきましょう。

クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険は、保険の適用対象となる旅行期間に「最長90日間」といった上限が設けられている場合があります。
仮に、クレジットカードに付いている海外旅行傷害保険の適用期間が90日間の場合、90日を超える長期の海外滞在では、クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険だけで全滞在期間をカバーできないと考えられます。

海外旅行傷害保険の適用期間が海外滞在期間よりも短い場合は、いつまで保険が適用されるのかを把握したうえで海外滞在中の計画を立てるようにしましょう。

なお、保険期間の開始日は、「海外旅行を目的として自宅を出発した日」や「保険の適用条件を満たした日」など、クレジットカードによって異なるので注意してください。

留学や出張が補償対象になるかどうかは確認が必要

旅行ではなく留学や出張で海外に滞在する場合、クレジットカードの海外旅行傷害保険が適用できるかどうかは出国前に確認しておきましょう。

たとえば、JCBカードの場合は、公式サイトにて「留学や出張も海外旅行傷害保険の対象となる」と明言されています。

Q12:出張や留学は補償の対象になりますか?
A:対象となります。ただし、補償期間は出発から3ヵ月(カード種類により2ヵ月)となりますので、補償期間を超える場合、出発日から任意の海外旅行保険の加入をご検討ください。


※引用元:JCBカード公式サイト「カード自動付帯各種保険に関するQ&A

この記載から、JCBカードに付帯する海外旅行傷害保険は、留学や出張で海外に行くときにも適用できることが分かります。

ただし、カード会社によっては、公式サイトや補償規定などに留学や出張に関する説明がない場合もあります。その場合は、留学や出張で海外に行く前に、海外旅行傷害保険の対象になるかどうかをカード会社に問い合わせて確認しておいた方が良いでしょう。

クレジットカードごとの海外旅行傷害保険の違い

一口に「クレジットカードの海外旅行傷害保険」といっても、その中身はカードによってさまざまです。カードごとにどのような違いがあるのか、以下の4つの観点に絞って紹介します。

【クレジットカードごとの海外旅行傷害保険の違いの例】

保険の付帯条件

クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険には、付帯条件が定められています。付帯条件とは保険が適用される条件のことで、「利用付帯」と「自動付帯」の2種類があります。

【保険の付帯条件】

利用付帯 カード会社が定める条件を満たした場合のみ保険が適用される
自動付帯 クレジットカード発行後(※)の海外旅行時に自動的に保険が適用される
※カードによっては発行から一定期間以降

クレジットカードに海外旅行傷害保険が付帯していても、付帯条件を満たしていない場合は保険が適用されません。それぞれの意味を理解したうえで、どちらの付帯条件の保険が付いているのか必ず確認するようにしましょう。

なお、いずれの付帯条件の場合も、カード会社への事故・病気の連絡や後述するキャッシュレス診療サービスの利用の際に、海外旅行傷害保険が付帯するクレジットカードが必要になる可能性があります。そのため、海外へ行く際は該当するクレジットカードを持って行ったほうが良いでしょう。

利用付帯

付帯条件が「利用付帯」の海外旅行傷害保険は、カード会社が定める条件を満たした場合に限り適用されます。利用付帯の条件はカード会社によって異なりますが、たとえば以下のような条件が定められている場合があります。

【利用付帯の条件の例】
利用付帯の海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードで、以下のいずれかを支払っていること

公共交通乗用具に該当するのは電車・バス・航空機などです。
空港に向かうための特急列車やリムジンバスの乗車券を利用付帯の保険が付いているクレジットカードで決済すると、海外旅行傷害保険が適用されます。レンタカーは公共交通乗用具には該当しないため、レンタカーの代金を支払っただけでは保険は適用されません。

クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険が利用付帯の場合は、条件を満たさなければ保険が適用されません。そのため、旅行前に利用付帯の条件を確認し、条件を満たすようにカードを利用しておくよう注意する必要があります。

自動付帯

付帯条件が「自動付帯」の海外旅行傷害保険は、クレジットカード発行後(または発行から一定期間以降)の海外旅行時に自動的に保険が適用されます。事前に旅行代金をカードで支払う必要はなく、旅行に行くことをカード会社に届け出たりする必要もありません。
そのため、利用付帯の海外旅行傷害保険と比べると、保険が適用されない心配は少ないと言えるでしょう。

ただし、自動付帯の海外旅行傷害保険の中には、一部の補償項目だけが利用付帯になっているものがあります。保険自体が自動付帯であっても、利用付帯の補償項目についてはカード会社が定める条件を満たさなければ補償されないため、注意が必要です。

また、自動付帯の補償項目でも、各項目の補償条件を満たしていない場合は補償を受けられません。自動付帯の海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードでも、保険の補償規定は必ず確認するようにしましょう。

傷害・疾病治療の最高補償額

海外旅行傷害保険の補償項目ごとの最高補償額はクレジットカードによって異なります。どの項目を見たらいいか分からない場合は、まずは傷害治療費用と疾病治療費用を確認してみましょう。

なお、外務省の領事サービスセンターの資料では、海外旅行傷害保険の補償項目について次のように説明されています。

2 海外旅行傷害保険加入の留意点
(1)海外旅行傷害保険は,「傷害死亡・後遺障害」と,「傷害治療費用」「疾病治療費用」 「疾病死亡」「救援者費用」「賠償責任」「携行品損害」等の担保項目で構成されています。
(2)この中で,外国で疾病または負傷により治療を行う確率は他の項目に比べ比較的高 いので,「傷害治療費用」及び「疾病治療費用」の項目につき,万一の事態に十分耐え得る 保険金額まで加入することが不可欠です。また,救援チーム派遣に伴う費用も高額なため, 「救援者費用」にも加入して,万一に備える必要があります。
(以下略)


※引用元:外務省 領事サービスセンター「海外旅行傷害保険への加入

キャッシュレス診療サービスの有無

キャッシュレス診療サービスとは、海外の医療機関を受診した際の医療費が、カード会社に直接請求されるサービスです。

キャッシュレス診療サービスが利用できる場合、受診当日の請求額が海外旅行傷害保険の最高補償額以下であれば、カード会員は1円も支払うことなく会計を済ませられます。そのため、手持ちの現地通貨が足りない場合やクレジットカードの利用限度額以上の医療費がかかった場合でも、医療費を支払えないリスクが少なくなります。

一方、キャッシュレス診療サービスが利用できない場合は、請求された医療費は一度自身で支払わなければなりません。支払った医療費は、保険の規定に基づいて後日補填してもらえますが、受診当日の請求額によっては手持ちの現地通貨やクレジットカードの利用限度額が足りなくなる可能性があります。

キャッシュレス診療サービスの有無はクレジットカードによって異なるため、カードの契約前あるいは旅行前に確認しておくと良いでしょう。

カード会員の家族に対する補償

クレジットカードによっては、カード会員の家族にも保険が適用される場合があります。家族に対して適用される保険には以下の2種類があります。

【カード会員の家族に適用される保険】

それぞれの保険の有無や付帯条件、補償内容はクレジットカードによって異なります。

家族カードに付帯する海外旅行傷害保険

家族カードとは、クレジットカード会員の家族に対して発行できる追加カードです。クレジットカードによっては、家族カードにも海外旅行傷害保険が付帯している場合があります。

ただし、家族カードに付帯する海外旅行傷害保険では、本カードと同じ補償が受けられるとは限りません。「本カードの保険は自動付帯だが、家族カードの保険は利用付帯」という場合や、最高補償額が本カードの保険とは異なる場合もあるため、付帯条件や補償内容は必ず確認しましょう。

本カードまたは家族カードの「家族特約」

一部のクレジットカードは、カード会員の家族が補償対象になる「家族特約」付きの海外旅行傷害保険を付帯します。家族特約とは、本カードや家族カードの会員本人に加え、家族特約の対象条件に当てはまる会員の家族にも保険が適用されるサービスです。

家族特約付きの海外旅行傷害保険が付帯するクレジットカードを持っていれば、18歳未満の子どもなどクレジットカードを持てない家族も、家族特約によって補償を受けられる可能性があります。

ただし、家族特約の付帯条件や補償内容は、カード会員に対する補償とは異なる場合があります。たとえば、「海外旅行傷害保険自体は自動付帯だが、家族特約は利用付帯」というカードや、「家族特約も自動付帯だが、カード会員に対する補償とは最高補償額が異なる」というカードもあります。また、家族特約の対象となる家族の条件もクレジットカードによって異なります。

そのため、家族特約が付いている海外旅行傷害保険の場合は、「誰に」「どのような補償が」「どんな条件を満たすと適用されるのか」を確認するようにしましょう。

監修者 午堂 登紀雄

人物 米国公認会計士 午堂 登紀雄
氏名 午堂 登紀雄
職業 米国公認会計士
保有資格 USCPA(米国公認会計士)
プロフィール

中央大学経済学部卒業後、東京都内の会計事務所、大手流通企業を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファーム『アーサー・D・リトル』で経営コンサルタントとして活躍。
2004年に独立起業。株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、個人投資家、ビジネス書作家としても活動している。