カードローン契約者が死亡した時の相続人の返済免除について

公開日:2020/03/25 / 最終更新日:2021/08/17

亡くなった人にカードローンの借金があったことが判明し、返済すべきか困惑している人もいるのではないでしょうか。カードローンの契約者が死亡した場合は、故人の財産を相続する人に借金を返済する義務があります。

ただし、相続人が財産を放棄する場合は借金を返済する必要はありません。カードローンの借金は、財産の一部として扱われるからです。

当記事では、故人に借入があった場合の相続の仕組みや相談先について解説していきます。

カードローンの契約者が死亡したら相続人が借金を支払う

カードローンの契約者が死亡した場合は、相続人が借金を全額支払う必要があります。カードローンの借金は債務であり、債務は相続する財産の一部だからです。

相続によって故人から相続人に承継されるものは、不動産や自動車、預貯金などの積極的な財産(プラスの財産)を引き継ぐだけではありません。債務や未払いの税金などの消極的な財産(マイナスの財産)も、相続人に引き継がれるのです。

国税庁が公表している相続財産種類別表を見ると、相続財産の種類には、土地や家屋、現金などの他に、債務も含まれることが分かります。

積極的な財産と消極的な財産の例は、以下のとおりです。

【積極的な財産(プラスの財産)と消極的な財産(マイナスの財産)の例】
プラス財産 1.不動産……宅地、農地、山林、建物など
2.現金・有価証券……現金、預貯金、株券など
3.動産……自動車、骨董品、貴金属など
マイナス財産 1.債務……カードローンの借金、住宅ローンなど
2.税金……未払いの所得税や住民税など
3.その他……未払いの家賃や地代、医療費、慰謝料など

消極的な財産の中には、カードローンの借金や住宅ローンなどの債務も含まれています。そのため、故人の財産を相続した人には、カードローンの借金の返済義務が生じてしまうのです。

故人の財産にカードローンの借金が含まれていた人は、相続する前に法律の専門家などに相談することを検討しましょう。

返済を無視した場合は他の審査に影響が出る

故人から相続したカードローンの返済を無視すると、新しくローンやクレジットカードなどに申し込んだ際の審査に影響が出るおそれがあります。相続した借金の返済を無視すると、相続人の信用情報に延滞の履歴が残ってしまうからです。

信用情報とは、ローンやクレジットカードなどの信用取引における利用情報のことで、本人識別情報や契約内容、返済・支払状況などが該当します。

故人のカードローンの借金は、債務として相続人に継承されます。そのため、相続人が返済を無視して延滞してしまうと、相続人自身の信用情報に延滞の履歴が残ってしまうのです。

実際、信用情報を管理している全国銀行個人信用情報センターや日本信用情報機構、シー・アイ・シーに電話調査したところ、「債務が相続人に継承されている場合、延滞の履歴が信用情報に残る可能性はある」という回答が得られました。

クレジットカード会社や消費者金融、銀行は、クレジットカードやカードローンの新規申込を受けたときなどに申込者の信用情報を確認しています。信用情報を照会したときに延滞の履歴が残っていた場合、審査への影響を否定できません。

そのため、相続した財産に債務があった場合、返済を延滞しないよう早めにカードローンの担当者に電話をかけて、返済日や返済額の相談をしましょう。

団体信用生命保険が付帯するなら保険で債務が返済される

故人が利用していたカードローンに「団体信用生命保険」が付帯していないかを確認しておきましょう。団体信用生命保険とは、カードローンの契約者が死亡した場合などに、カードローンの残高を一括返済してくれる保険のことです。

故人が利用していたカードローンに団体信用生命保険が付帯していれば、保険でカードローンの残高を一括返済できる可能性があります。

ただし、すべてのカードローンに団体信用生命保険が付帯しているわけではありません。団体信用生命保険が付帯するカードローンは、スルガ銀行カードローンやちば興銀ガン保障付カードローンなど、一部に限られます。

なお、大手消費者金融や大手銀行のカードローンに団体信用生命保険は付帯していません。

相続人は民法に則って決められる

国税庁の公式サイトの相続人の範囲と法定相続分を見ると、相続人は以下のように順位が定められていることが分かります。

【相続人の順位】
順位 具体的な内容
配偶者 相続人になる
第1順位 故人の子供(養子を含む)
第2順位 故人の両親、祖父母などの直系尊属
第3順位 故人の兄弟姉妹

故人の配偶者は常に相続人となります。亡くなった人の配偶者以外の相続人は、故人の子供、両親や祖父母、兄弟姉妹の順で配偶者と一緒に相続人になります。

相続人は、家族が自由に決められるわけじゃないので注意しましょう。

相続人の財産の分配

相続人の範囲と法定相続分を見ると、相続人に配分される財産が決まっていることが分かります。

たとえば、配偶者と子どもが相続人になった場合、配偶者と子どもがそれぞれ財産を2分の1相続します。

【配偶者と子どもで故人の遺産を相続する場合】

配偶者と子どもで故人の遺産を相続する場合

配偶者と子どもが相続人になった場合、財産はそれぞれに2分の1ずつ分配されます。また、子どもが複数いる場合は、それぞれに財産が均等に分配されます。

たとえば、故人の子どもがふたりの場合、配偶者に2分の1、子どもに4分の1ずつ財産が分配されることになります。

すでに相続人が決まっている場合、「相続人の範囲と法定相続分」を参考にだれがどれほどの財産を継承するのかを確認しておきましょう。

相続を放棄する場合カードローンの返済義務はない

財産の相続を放棄する場合、カードローンの返済義務はありません。カードローンの残高は財産の一部だからです。ただし、以下の条件に当てはまる場合は相続を放棄できません。

【相続放棄ができなくなる条件】
  • 相続の開始を知った日から3か月以上が経過したとき
  • 相続する予定の財産の一部を使ってしまったとき

まず、故人が死亡してから3か月以上が経過していると相続を放棄できない理由から解説します。

国税庁の公表している民法の相続制度の概要を見ると、相続を放棄するには相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があると記載されています。

そのため、相続の開始を知った日から3か月以内でないと相続の放棄ができないのです。また、相続の放棄ができる期間は、相続の開始を知った日から3か月以内であり、故人が死亡した日からではないので注意しましょう。

次に、相続する予定の財産の一部を使ってしまうと相続を放棄できない理由です。民法921条を見ると、相続人が相続する財産の一部を使ってしまった場合には、相続を承認したとみなされることが分かります。

そのため、相続の放棄を検討している人は、葬儀などの際に故人の財産を使ってしまわないように注意しましょう。

相続について悩んでいる人は法テラスで無料の相談ができる

故人の財産を相続するか悩んでいる人や相続放棄を申述する期間を過ぎたあとに故人の債務が発覚した人は、法テラスの利用を検討しましょう。

法テラスとは、国によって設立された公的な法人です。利用者からの問い合せ内容に応じて、法制度に関する情報や、相談機関・団体等(弁護士会、司法書士会、地方公共団体の相談窓口等)に関する情報などを無料で提供してくれます。

近くの法テラスを調べたい場合には、「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」のページから調べることができます。また、電話やメールでの相談も受け付けています。

法テラスに電話で相談した場合の例

法テラスに電話で相談しようとしている人は、実際に編集部が電話調査した下記の結果を参考にしてみてください。

【法テラスに電話調査した結果】
編集部
亡くなった身内に借金があった場合には、どうすればいいでしょうか。
法テラス担当者
おそらく、積極的な財産と消極的な財産があると思うので、そこを踏まえたうえで相続を放棄するかどうかの選択になると思います。詳しくはこれから紹介する法律事務所などでご相談ください。
編集部
どんなところを紹介してもらえますか?
法テラス担当者
まずはじめに、無料で法律相談できるところを紹介します。ただし、月収18万2,000円以下、ご結婚されている場合、夫婦での収入が25万1,000円以下などの条件があります。詳しくは公式サイトをご覧ください。
編集部
その条件を満たせない場合はどうなりますか?
法テラス担当者
では、お近くの法律相談所をお探しします。お住まいはどちらになりますか……?

編集部が電話調査した結果、法テラス担当者は、問題に対する簡潔な回答をしてくれたうえで、住んでいるところの付近の専門の法律事務所を紹介してくれました。

消極的な財産を踏まえたうえで、相続を放棄するかどうかを悩んでいる人は、法テラス(0570-078374)に電話で相談してみるのもひとつの手だと言えます。

弁護士監修者プロフィール

人物 弁護士 齋藤 健博
氏名 齋藤 健博 弁護士・齋藤健博氏の詳細
職業 弁護士
保有資格 弁護士
プロフィール 弁護士であり、銀座さいとう法律事務所の代表。男女問題を中心に、債権回収・借金・債務整理などの相談にも対応している。 日本最大級の弁護士検索・法律相談ポータルサイトである『弁護士ドットコム』にて総合ランキング1位の実績(2021年1月時点)。テレビ番組への出演や記事の監修も請け負いつつ、今日も多数の法律問題の相談に応じている。

FP監修者プロフィール

人物 飯田 道子氏 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
氏名 飯田 道子 FP・飯田道子氏の詳細
保有資格 ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券外務員Ⅱ種
宅地建物取引士合格者
プロフィール 金融機関での勤務を経て、1996年にファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)の資格を取得。 現在はどの金融機関にも属さない独立系ファイナンシャル・プランナーとして、お金に関する各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなう。各種ローンやライフプランニングなどの範囲を担当する。

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