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更新日 : 2022.10.03

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求職者支援資金融資

求職者支援資金融資とは、職業訓練受講給付金を受けても、職業訓練を受講している間の生活費が足りないという方に向けた貸付制度です。

求職者支援資金融資を利用するには、厚生労働省やハローワークで定められた条件を満たす必要があります。そこで、求職者支援資金融資の貸付対象とともに、審査や申請方法について解説していきます。

求職者支援資金融資とは

求職者支援資金融資は、職業訓練受講給付金の受給が決定している方、もしくは給付金を現時点で受け取っている方を対象とした貸付制度です。

職業訓練受講給付金とは、雇用保険を受給できない求職者の生活を支援するための公的制度のことです。ハローワークに通いつつ職業訓練を受講する場合、訓練期間中の生活を支援するための給付を受けられます。

求職者支援資金融資では、職業訓練受講給付金を受けた状態でも職業訓練を受講する間の生活費が足りない場合に融資を受けられます。

【求職者支援資金融資】
貸付額 月額5万円(上限)または10万円(上限)×受講予定訓練月数
※配偶者などの有無により、上限額は異なります
貸付方法 本人の労働金庫の口座に一括での振り込み
担保人・保証人 不要
※労働金庫が指定する信用保証機関の利用が条件となります
貸付利率 年3.0%
※元金と利息の返済が遅れた場合は、遅延している元金に対して年14.5%の損害金の支払い義務が発生します

参照元:厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」

求職者支援資金融資では、連帯保証人不要で融資を受けれます。融資額の上限は利用者の状況によって異なり、単身者の場合は5万円、配偶者や子どもがいる場合は10万円が限度額となります。

求職者支援資金融資の貸付対象

求職者支援資金融資の貸付対象は下記のとおりです。

【求職者支援資金融資の貸付対象者】
  • 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
  • ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方

参照元:厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」

2つに該当しなければ、求職者支援資金融資を利用できません。求職者支援資金融資を利用したい場合には、貸付対象に該当しているかを確かめておきましょう。

職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方

求職者支援資金融資を利用するには、職業訓練受講給付金の「支給決定」を受ける必要があります。

支給決定について東京都渋谷区のハローワークに電話調査したところ、「ハローワークで行なわれる審査により、職業訓練受講給付金の利用が決定していること」との回答が得られました。支給決定については、住んでいる地域のハローワークから書類などで通知されるとのことです。

電話調査の結果を踏まえると、住んでいる地域のハローワークから職業訓練受講給付金の支給決定が通知されるまでは、求職者支援資金融資の貸付対象に該当しないと考えられます。

職業訓練受講給付金の利用が決定していない場合、求職者支援資金融資を申請する前に、ハローワークに給付金の利用に関する相談をしておくと良いでしょう。住んでいる地域のハローワークを探す際は、厚生労働省「全国ハローワークの所在案内」を参考にしてください。

ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方

求職者支援資金融資を利用するには、ハローワークから「求職者支援資金融資要件確認書」という書類が交付されている必要があります。求職者支援資金融資要件確認書が交付される条件は下記のとおりです。

【求職者支援資金融資要件確認書を受ける条件】
  • 貸付を希望する理由が適当と認められること
  • 貸付金を返済する意思があると認められること
  • 暴力団員※ではないこと

「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」
※第2条第6号に規定する暴力団員
参照元:厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」

すべての条件を満たさなければ、ハローワークから求職者支援資金融資要件確認書を受け取れません。そこで「貸付を希望する理由が適当である」「貸付金を返済する意思がある」について、東京都渋谷区のハローワークに電話調査したところ、下記の回答が得られました。

【渋谷区のハローワークとの電話内容】

筆者
「貸付を希望する理由が適当である」の基準はありますか?

担当者
明確な基準は答えられないが、申込者から状況を申告してもらい、ハローワークの審査で貸付が必要かを判断します。職業訓練により仕事をする時間がないのが前提になるため、基本的には収入減による生活費の不足が理由になることが多いです。

筆者
「貸付金を返済する意思がある」の基準はありますか?

担当者
貸付制度のため、返済の意思が見えない限り対象とはなりません。そのため、返済の意思があるかを書面などで確認しています。それに応じてもらえなければ意思がないとみなすこともあります。

電話調査の結果を踏まえると、「職業訓練により仕事ができずに生活費が不足している」「貸付金を返す意思をハローワークに伝える」「暴力団員ではない」という場合、求職者支援資金融資の貸付対象になると考えられます。

求職者支援資金融資を利用するには審査に通る必要がある

求職者支援資金融資を利用するには審査に通る必要があります。

【労働金庫の審査に関する記載】

労働金庫では、金融機関としての審査を行いますので、審査の結果、貸付を受けられないこともあります。
引用元:厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」

労働金庫とは、労働組合や消費生活協同組合(生協)、その他の労働者団体が会員となって運営されている機関のことです。「ろうきん」と呼ばれることもあり、日本全国に13の労働金庫があります。

全国の労働金庫を調査しましたが、求職者支援資金融資の審査基準や審査内容は公表されていませんでした。そのため、求職者支援資金融資の審査難易度や審査基準を断言することはできません。

とはいえ、審査結果によっては融資を受けられないため、求職者支援資金融資は、誰でも審査に通るような公的制度ではないと考えることができます。

審査時に信用情報が確認される可能性もある

求職者支援資金融資の審査では、申請者の信用情報が確認される可能性があります。審査を行なっている労働金庫は、個人信用情報機関に加盟しているからです。

個人信用情報機関とは、「信用情報」というクレジットカードやローンなどの利用履歴を保管している会社です。日本に3社の個人信用情報機関があり、加盟先の会社や機関に対して信用情報を提供しています。

求職者支援資金融資に対応している「中国労働金庫」は、個人信用情報機関の3社すべてに加盟していることを「個人信用情報機関およびその加盟会員による個人情報(特定個人情報等を除く)の提供ならびに利用について」で公言しています。
また、「信用情報は返済能力または転居先の調査のために使用する」という内容も記載されています。

求職者支援資金融資は貸付制度であるため、貸付を受けると返済義務が生じます。つまり、貸付金を返せるのかどうかを調査するために、労働金庫の審査では信用情報が確認される可能性も考えられるのです。

なお、信用情報には、ローンやクレジットカードなどの延滞に関する履歴も残ります。求職者支援資金融資の審査で信用情報が確認されると仮定した場合、信用情報に延滞の履歴が残っていると、審査担当者に延滞した事実が確認されるとも考えられます。

求職者支援資金融資を申請する方法

求職者支援資金融資を申請するには、下記のような流れで手続きを行なう必要があります。

【求職者支援資金融資を申請する方法】


※厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」を参考に作成したイラストです

貸付開始するまでの期間は、住んでいる地域や申請者の状況などで変わるため、「〇日後に必ず貸付を受けれる」とは断言できません。

東京都渋谷区のハローワークと労働金庫に電話調査したところ、「貸付を受けれるまでは2か月程度かかるとみたほうがいい」との回答が得られています。

求職者支援資金融資を利用する場合、貸付を受けれるまで2か月程度かかることを想定しておくと良いでしょう。

ハローワークに申請する

求職者支援資金融資を利用するには、まずハローワークへの申請が必要です。ハローワークの担当者から求職者支援資金融資の利用が必要だと判断されれば、申請手続きを進められます。

求職者支援資金融資の申請先は、住んでいる地域にあるハローワークです。求職者支援資金融資を利用する場合、住んでいる地域のハローワークを厚生労働省「全国ハローワークの所在案内」から探しておくと良いでしょう。

労働金庫に必要書類を提出する

ハローワークの担当者から求職者支援資金融資の利用が必要だと判断された後は、労働金庫に必要書類を提出する必要があります。提出する必要書類は申請者の状況などで変わりますが、たとえば長野県の労働金庫では下記の書類が必要です。

【長野労働金庫に提出する必要書類の例】
必要書類 具体例
公共職業安定所(ハローワーク)が発行した資格確認資料 ・求職者支援資金融資要件確認書
・求職者支援資金融資確認申請書の写し
・職業訓練受講給付金支給状況(支給記録)の写し、または職業訓練受講給付金支給決定通知書
本人確認資料 免許証、健康保険証など

参照元:長野県労働金庫「求職者支援資金融資 |【公式】長野ろうきん(長野県労働金庫)」

求職者支援資金融資を利用する場合、住んでいる地域の労働金庫から提出が求められる必要書類を公式サイトなどで確認しておくと良いでしょう。住んでいる地域の労働金庫を探す際は、「お近くのろうきんを探す|全国労働金庫協会(ろうきん協会)」を参考にしてください。

労働金庫の口座の開設手続きをする

求職者支援資金融資を利用する場合は労働金庫の口座が必須となります。

【労働金庫の口座に関する記載】

労働金庫に口座がない場合は、手続きの際に口座を開設する必要があります。
引用元:厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」

労働金庫の口座を持っていない場合、求職者支援資金融資の手続きとともに、口座開設の手続きも必要になります。

東京都渋谷区の労働金庫に電話調査したところ、「労働金庫に来店してもらう際に、口座開設の手続きを同時に行なえる」との回答が得られました。また、「口座開設の手続きには、源泉徴収票、健康保険証、印鑑、印鑑証明書が必要になる」との回答も得られています。

申請者の状況によって口座開設の手続きに必要な書類は変わるため、労働金庫の口座を開設する場合、事前に住んでいる地域の労働金庫に相談しておくと良いでしょう。住んでいる地域の労働金庫を探す際は、「お近くのろうきんを探す|全国労働金庫協会(ろうきん協会)」 を参考にしてください。

労働金庫にて審査が行なわれる

必要書類を提出し、口座開設の手続きを済ませた後は、労働金庫で求職者支援資金融資の審査が行なわれます。審査に通過した場合、求職者支援資金融資で貸付を受けれます。

審査時間は公表されていないため、東京都渋谷区の労働金庫に電話調査したところ、「状況にもよるが、必要書類の提出から融資までは3週間から1か月程度かかる」との回答が得られました。

求職者支援資金融資で貸付を受けられるまでの期間を知りたい場合、住んでいる地域の労働金庫に電話をして、審査時間の目安を聞いてみると良いでしょう。

求職者支援資金融資の貸付金は返済する必要がある

求職者支援資金融資は貸付制度であるため、利用した場合は貸付金を返済しなければなりません。

求職者支援資金融資では、貸付を受けた月の翌月の末日が返済日となります。返済の免除は認められませんが、職業訓練が終了した月から3か月後の末日までは「元金の据置期間」となり、利子のみの返済が認められます。基本的には、貸付を受けた日から5年以内に貸付金と利子を完済しなければなりません。

必要以上に貸付を受けると返済が困難になるリスクもあるため、求職者支援資金融資を利用する場合、貸付金額は必要最低限に抑えることが重要です。

また、求職者支援資金融資で貸付を受けると、年3.0%の利率が適用されて、貸付金を完済するまでの期間で利子が発生します。求職者支援資金融資を利用する場合、完済までにどれだけの利子が発生するのかを事前に把握しておくと良いでしょう。

求職者支援資金融資を利用した場合の返済シミュレーション

ここでは、求職者支援資金融資を利用した場合、完済までにどれだけの利子が発生するのかをシミュレーション形式で解説します。

【シミュレーションの前提条件】
  • ひと月3万円を12か月の間、貸付を受ける想定
  • 据置期間後から毎月1万円を返済した場合を想定
【返済シミュレーション】
返済期間 38か月
発生する利子 17,698円
返済総額 377,698円

※実際の金額と異なる場合があります。目安程度にお考えください。

シミュレーションの結果、38か月で完済となり、17,698円の利子が発生するとわかりました。返済総額は377,698円になるとの結果でした。

なお、求職者支援資金融資で発生する利子の目安を計算する場合、「貸付金額×年3.0%÷365日×貸付期間」で算出できます。求職者支援資金融資を利用する場合、発生する利子を算出しておいて、返済のための計画を立てておくと良いでしょう。

不正受給にならないように正しい情報を申告する

求職者支援資金融資を利用する場合、不正受給とならないように正しい情報を申告するようにしてください。不正受給をすると、貸付金の一括返済となったり、詐欺罪などで処罰されたりする危険性があるからです。

実際に、厚生労働省は不正受給に関して下記のように注意喚起をしています。

【不正受給に関する注意喚起】

次のような場合には、直ちに債務残高の全額を一括返済しなければなりません。また、詐欺罪などで処罰されることもありますので、ご注意ください。
・就職支援拒否により、給付金が不支給になった場合
・不正受給により、給付金が不支給になった場合
・確認申請書類の虚偽記載などによる貸付の不正利用が発覚した場合
引用元:厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」

求職者支援資金融資を利用する場合、たとえ不都合な事情があっても、ハローワークや労働金庫の担当者から尋ねられたことには、虚偽のない正しい情報を伝えるようにしてください。

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