PR 更新日 : 2024.07.31
借用書の書き方【テンプレートあり】
お金を貸すときには「きちんと返済してもらえるのか?」「借金を踏み倒されないか?」「金銭トラブルに発展しないか?」と不安になりますね。
そのような時は、法的に有効と認められる借用書を作成しましょう。
借用書を作成すれば、借主と返済方法や金利について、揉めるリスクを減らすことができます。
法的に有効な借用書の書き方
法的に有効な借用書を作りたい人は、個人間でお金の貸し借りがあったことを証明するために、以下の情報を記載する必要があります。
- 貸付額(借入額)
- 貸主と借主の名前
- 貸主と借主の捺印
- 貸付日
- 返済期日
- 返済方法(一括払い・分割払いなど)
- 金利の有無
たとえば、支払いの方法を口約束で済まさずに、分割払いや一括払いといった内容も記載することが必要です。
なお、借用書の元となる用紙は、ノートの切れ端やコピー用紙でも法的に問題ありません。
文字を記載できるのであれば、どのような用紙でも法的な効力が認められるため、必要な情報を網羅した借用書を作成しておきましょう。
署名は必ず自筆する
借用書に記載する署名は、貸主と借主がそれぞれ自筆しましょう。本人の代わりに署名を済ませてしまうと、法的に無効な借用書になるため、借主に貸したお金を踏み倒されるおそれがあるからです。
借用書は両者の同意があって初めて法的な効力が認められることから、借主に著名していないことを主張されると借金を踏み倒されてしまうおそれがあります。
そのため、法的に有効な借用書を作成したい人は、借主・貸主それぞれが署名を自筆することを徹底しましょう。
借用書のテンプレート
簡単に借用書を書きたい人は、既存のテンプレートを利用しましょう。必要な情報が記載されたテンプレートを利用すれば、手書き部分を追記するだけで法的に認められる借用書を作れるからです。
当記事では、利息の有無に応じた2種類の借用書のテンプレートを用意しています。一般的なコピー用紙で印刷しても法的に有効なので、借用書のテンプレートを使用する人は、自宅やコンビニのプリンターにて印刷してみてください。
利息なしの借用書テンプレート
利息なしでお金を貸す場合の借用書のテンプレートは下記の通りです。
利息なしでお金を貸す場合、貸付額や返済期日、借主・貸主の署名が借用書に記載されていなければ、法的に有効な書類と認められません。
利息ありの借用書テンプレート
利息ありでお金を貸す場合のテンプレートは、下記の通りです。
利息ありでお金を貸す場合、貸付額や返済期日とともに、具体的な金利を記載する必要があります。もし借用書に金利を記載していない場合、返済してもらう際に利息額を請求することができません。
口約束では法的な効力が発生しないので、利息を請求するときは借用書に金利を記載しておきましょう。
コンビニでは借用書のテンプレートを発行できない
そのため、簡単に借用書を書きたい人は、コンビニに行くのではなく、インターネット上にあるテンプレートの利用を検討してみてください。
なお、テンプレートに不安を感じる人には、法令用紙や実務書を販売している日本法令の“金銭借用証書”を購入する方法があります。金銭借用証書を購入したい人は、日本法令の「販売店のご案内」から近くの店舗を探してみましょう。
貸付額は漢数字で記載する
借用書に記載する貸付額は、漢数字で記載しましょう。日常的に使用している算用数字と使うと、相手に借用書の内容を改ざんされるおそれがあるからです。
借用書で使用するべき漢数字は、下記の通りです。
【借用書に使用する漢数字】
算用数字 | 漢数字 |
---|---|
1 | 壱 |
2 | 弐 |
3 | 参 |
4 | 四・肆 |
5 | 五・伍 |
6 | 六・陸 |
7 | 七・漆 |
8 | 八・捌 |
9 | 九・玖 |
10 | 拾 |
100 | 百・佰 |
1,000 | 千・仟 |
10,000 | 萬 |
貸付額を漢数字で記載すれば、金額を改ざんされる危険性が減るため、法的に有効な借用書となりやすいです。貸したお金を踏み倒されたくない人は、法的に有効な借用書を作成するために貸付額を漢数字で記入しましょう。
借用書で使用する漢数字の記入例
借用書で使用する漢数字の記入例は、下記の通りです。
【借用書で使用する漢数字の記入例】
金額 | 借用書に記入する場合の例 |
---|---|
100,000円 | 金拾萬円也 |
150,000円 | 金拾伍萬円也 |
300,000円 | 金参拾萬円也 |
1,000,000円 | 金壱百萬円也 |
借用書に貸付額を記入する際は、金額の書き足しをしていないことを証明するために、金額の先頭に“金”、金額の末尾に“也”と付けます。借用書に貸付額を記入する際は、“金”と漢数字の間隔を開けずに記入しましょう。
貸付額が5万円以上になる場合は借用書に収入印紙を貼る
貸付額が5万円以上になる場合、印紙税の納税義務が生じるため、借用書に収入印紙を貼る必要があります。借用書に貼り付ける収入印紙の金額は、下記の通りです。
【貸付額ごとに必要な収入印紙の金額】
貸付額 | 収入印紙の金額 |
---|---|
5万円未満 | 0円(非課税) |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 600円 |
借用書に貼り付ける収入印紙の金額は、貸付額によって変わります。貸付額が5万円以上の契約をする場合は、貸主側が収入印紙を用意しなければなりません。
なお、収入印紙は税務署だけでなく、市役所や法務局、大手のコンビニでも購入できます。貸付額が5万円を超える人は、収入印紙を購入したうえで借用書を作成しましょう。
個人間での貸し借りでも利息制限法の対象
お金を貸す場合の金利は、利息制限法という法律で上限が定められています。個人間での貸し借りでも利息制限法の対象になるので、利息ありでお金を貸す人は法律で定められた上限金利に注意してください。
【利息制限法で定められている上限金利】
貸付額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円以上100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
利息制限法で定められている上限金利は、貸付額によって変わります。利息制限法を超える金利を設定した場合、上限金利を超えた部分の利息額は無効になることから、借用書に記載があってもお金を請求することはできません。
そのため、家族や友達に利息ありでお金を貸す人は、利息制限法で定められた範囲内で金利を設定しましょう。
借用書を公正証書にすることで得られる効果
借用書を公正証書にすることで、金銭貸借時のトラブルリスクを減らすことができます。
公正証書とは、二人以上の間で決められた権利や義務を証明する公文書のことです。お金の貸し借りについても、個人間で定めた取り決めとして公文書として公証役場に保存できます。
公正証書には通常「返済できない場合は強制執行を容認する」旨の記載をするため、万が一返済してもらえなかった場合に、裁判を起こすことなく相手の財産を差し押さえることが可能です。
また公正証書は公証役場に保管されるため、借主に書面の内容を改ざんをされるリスクもありません。
なお公正証書を作成するには、借主と貸主が公証役場に出向く必要があります。
申請時には身分証明書や印鑑証明書などの書類の提出を求められる場合があるため、事前に公証役場に確認しておきましょう。
自宅の近くで公正証書を作成したい人は、日本公証人連合会の公式サイトにある「公証役場一覧」のページから公証役場を探してみてください。
時効になると借金を返済してもらえない
民法では以下のように、個人間で貸し借りが行われる一般的な債権であっても、借金の時効 が定められています。
【民法第167条より】
第三節 消滅時効
第百六十七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
※借金がなくなる“消滅時効”は、2020年4月からの改正民法で「最後の返済または承認から5年が経過した場合」となります。
銀行などの金融機関との貸し借りでは商法が適用されますが、個人間でのお金の貸し借りでは民法が適用されます。
そのため、借用書を作ったからといって、催促をせずに放置してしまうと、時効を迎えてしまい返済してもらえなくなります。
家族や友達が相手でも借用書を作成しましょう
家族や友達にお金を貸す人の中には、借用書を書いてもらうことに対して引け目を感じる人もいると思います。しかし、借用書を作成せずにあいまいな状態でお金を貸せば、家族間や友人間で金銭トラブルが発生して信頼関係が壊れかねません。
実際Q&Aサイトを調査したところ、「借用書を書かずに友達へお金を貸したら、30万円を踏み倒されて心が折れた」「お金を貸していた夫と離婚したらそのまま、100万円を返済せずに逃げられた」といった投稿が見られました。
家族や友達にお金を貸す人は、信頼関係を壊したくない旨を相手に伝えたうえで、お互いに協力して借用書を作成しましょう。